人間の欲望というのは、満足する、ということが、中々出来ないものらしい。特にお金に関しては、贅沢という欲望があるので、お金には特に欲が出てくるようだ。大金持ちは、ますます太り、お金に苦労している人たちは、増えていく。資本主義というのは、こういうことらしい。
お金にあまり縁のない私などは、負け惜しみではないが、そこそこの生活が出来たら幸せと思っているので、年金収入しかないのだが、年金は有難く、その中でやりくりしている今の生活を十分有難いと感じている。そこそこの生活というのは、食生活で、「ああ、鰻は一年に1度や2度は食べようか」と、思って食べられる生活だ。「東京に年に1度は行きたい」と思うその旅行に行く事が出来る程度のものである。
そもそも、私はあまり金銭欲というものがない。しかし、気分は、いつでもお金持になれる。「私の財産3億円、使いきれないから全部銀行にあずけてある」と思っていたらいいことだ。(笑)
幸せってその人その人によって違うのだろうけど、欲がなければ、けっこう幸せな人生が送れると思う。夫も私も貧乏のさ中に結婚したので、花嫁姿の経験もないし、写真もない。でも、一度もそうした経験がしたかったなどと思ったことはない。
欲を出したら、けっして幸せにはなれない。ちょっとした〝いいことをしたなあ〟と思ったり、誰かに感謝されることをしたり、涙のでるような感動をしたり、美しい青空と白い雲に見とれたり、遠くの山々を眺めたり……こんな小さな幸せも、数があれば、幸せ袋はふくらんでくる。大きな幸せにつながっていくだろう。
エレベーターの中で、可愛い赤ちゃんがママに抱っこされていた。赤ちゃんににこにこして手をふったら、じっと私を見つめてくれた。降りるとき、首を伸ばして私を見送ってくれた。楽しかったなあ。
こんな生活をしていると、色々と心配事もあるけれど、けっこうストレスも発散しているらしい。嬉しいことである。