2016年6月9日木曜日

№1060 鏡


  先日、Aさんから、ある相談を受けた。Aさんは、母親Bさんが、まったく人の話を聞く耳をもたず、お金のことを言って娘であるAさんを苦しめるという。認知が始まったと思うのだが、昔から、何事も自分本位で、人の話を聞く耳を持たぬという。自分の思い違いも、何度言っても自分を主張してきかぬらしい。

 そうしたBさんも、他人の行動にはかなり厳しい目をもつ。が、自分の言っていることが、他人の目には、自己中心的と思われていることが、解っていない。自分を写す鏡をもっていないのだ。『こんなことを言っては笑われる』『子どもの幸せのためには、子どもを苦しめてはいけない』ということが、まるでなく、これが親子か?と思うような言動をとるという。

 認知にも、いろいろあって、あることがらは異状でも、他のことは正常というタイプもあるので、検査をしてもらったらと思うのだが、そういうことなど、応じるわけがないと娘たちは諦めているから、しまつが悪い。大事に育てたはずの子を憎んだり、怖がられたりするほど不幸はないはずだ。

 私たちは、いつ認知症に襲われるかもわからないのだが、日常生活と深いかかわりがあるように思う。認知になると、その人間のマイナス面が、更にひどくなる傾向があるらしい。人の迷惑などあまり考えていない人は、益々迷惑をかけるようになるかもしれない。【認知にはなりたくない】ということは、そもそも【まわりに迷惑をかけたくない】ということが根本にあるわけだから、年寄りになっても、いつも自分の行動を反省できるよう、自分を写す鏡を常に持つことが大切だと思う。

4 件のコメント:

  1. 人に、言葉や行動で、危害を加えかねない病気の人を抱えた家族は、大変ですね。 病気の本人にはその意識が無くて、言うことを聞くような状況では無いし、家族は周囲にまで気を使って、毎日毎日暗澹たる日々を送っている。 一応皆が健康に過ごしている家庭の人からでは、想像すらできない生活でしょうね。
    心に鏡を持てる人は、それだけでも幸せだとも言えそうですね。

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    1. おっしゃる通り、家族は、困り切っています。ああは、なりたくないと思いますねえ。なるかもわかりませんけど。(笑)
      鏡を曇らせぬよう、気をつけたいと思います。

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  2. 認知症の人に鏡を持てというのは土台無理な話ですよ。それができないから認知症なんです。性格が強調されるのは確かでしょう。それにまだらに症状が出ることも多いようです。他人の前では優等生的、身内の前では滅茶苦茶。それで家族は余計苦しみます。家族が他人から冷たい目で見られるのです。

    経験者として一言。

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    1. ごもっとも。鏡は、認知症になるまでの生き方です。そうした生き方をしていますと、認知になっても、少しは違うのでは、と思うのですが、無理かなあ。Bさんは、昔から、人の話を聞かぬ方だったようですから。(笑)

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