退職後というのは、私が大人になってから、こんなに早く過ぎていった年月はなかったように思う。まるで秋の夕暮れである。10年20年という年月は、過ぎてしまうとアッという間なのだが、あっという間だからこそ、大切にしなければいけないということが、過ぎ去ってみると強く思う。
一日のうちで、昼でも夜でもない「黄昏」があるように、人の一生にも、若くもなく年寄りでもない頃合いがある。50代60代という年齢は、そんな時だった。若いころのように、何でもはできないが、やる気があれば、そこそこのことは出来る年齢である。そしてこの時期は「老いの潜伏期」なのかも知れない。
何をするにも心準備がいるように、「老い」を迎えるにも、それなりの足場があったほうがいい。潜伏期が過ぎると、「老い」は情け容赦なく現れてくる。顔はむろん、足腰にガタがくるし、もの忘れはするしと、いやでも『齢』を感じることになる。
でも、「老い」といったら、何もかもが下降線を描くというイメージがあるが、私は「自分の人生の総仕上げ」の時だと思うことにしている。(これくらいのことはほざいていないと、私は不精者なので、豚女になってしまう恐れがある)
どちらにしても萎びるか活き活き印かの岐路は、どうも黄昏期が大切と言えそうだ。そしてその後、かなり続くはずの『老後』という道のりを、自力でどこまでやっていけるか、ということは、その日その日を、『黄金の日々』とわきまえて、大切に生きて行くしかなさそうだ。
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