2016年9月23日金曜日

№1085 秋分の日


  お彼岸の今日は、夫の命日と重なりました。21年前の今日、夫は、あっけなく心筋梗塞という思いもかけぬ病であの世に着地してしまいました。当時は、まるで悪夢をみているようで、断片的な場面は思い出せても、通夜の様子などは、まったくと言っていいほど、思いだせない。それほど夢のような出来ごとだったのでしょう

でも、21年も過ぎると、当時の悲しみよりも、私も夫のように、寝込むこともなく逝きたいという思いが強くなっています。

 亡くなって一年近くは、心身ともに疲れ果てたような気分でした。事実、足腰はガタがくるし、眼はしょぼしょぼするし、睡眠は思うようにとれず、朝起きても霞んだような頭で、何かが抜け落ちたような気分でした。何をしても、心底楽しめないしんどさ、家族に心配させぬために、表面は元気そうに振舞うのも、またストレスになるのです。「そんなことではダメやないか。好きな随筆でも書け。わしのことでも書いてみいや」こんな夫の声は、大分前から聞こえる?のですが、その気にもなれませんでした。同じ庭に住む息子夫婦と孫二人に支えられてふんばっていたものです。

でも、ここらでジャンプしなければと決意しました。夫の要望にこたえようと思い、一周忌は夫の新しい誕生日、そのお祝いに墓前に捧げる文集を作ることにしました。

 生前に書いたものも含め、100ページほどの小冊子ですが、在りし日の夫のことを、正直に書いたのです。あれも褒め、これも褒めでは、うそになります。夫を知る方たちにも、読んで笑っていただけるものと思い書きあげました。

 ふと思いたって、今日、その小冊子を手に、くすりと笑いながら読み返したものですから、こんなことを書いてしまいました。あ、日付けが変わりそうだ……。

 

4 件のコメント:

  1. 21年前と言いますと、わたしの父が亡くなったのが19年前ですから、あの頃だったんだなぁ、と思い返しておりました。 いまだに、長い年月が経ったようには感じません。 わたしは結婚18年で離婚しましたから、街で仲の良いご老人夫婦を見かけますと、羨ましいなぁ、とも思うのですが、反面TVなどで、仲の良いご夫婦の災害や病気による死別を見ますと「自分はこの悲しみだけは経験することが無くて良かったなぁ」とも思うのです。 夫婦の在り方というものも、千差万別ですね。

    返信削除
    返信
    1. kogaさんも、人生の悲喜交々を味わってこられたのですね。苦あれば楽ありとも言います。結婚も、何らかの理由で別れることは、別れたくても別れられずに暮らすよりは、幸せだと思います。
      ほんとに人様々ですからね。マイナスをプラスに考える生き方って、いいですね。

      削除
  2. ご本を出されてよかったですね。ご主人もお喜びになったと思います。

    私は夫を送って35年です。認知症の出始めた姑と、妊娠中の長女、大学生の次女が残されて、おまけに私は股関節症の激痛を抱えていました。

    気が付いて30分ほど、近所のお医者さんは駆け付けてくれましたが、救急車は間に合わず、注射1本する暇もありませんでした。もちろん最後の言葉を聞く真もありませんでした。

    嵐にもまれる船同然。何をしていたのか全く記憶にないのですよ。夫の兄弟たちに傍についていながら、あんたが悪いと責められたのは辛かったですね。

    早産しかけた孫は33歳、姑を送って25年、みんな遠い昔となりました。

    返信削除
    返信
    1. mimiさんも、色々とご苦労がありましたのね。「あんたが悪い」なんて責めるなんて、酷い。悲しみの上に辛さがのしかかって、苦しみも何倍にもなりますよ。
      でも、そうした苦労も、年月は何とか塗り替えしてくれるものですね。

      削除