2017年3月17日金曜日

№1135 故郷


【故郷】という言葉は、古里、郷里、生まれた土地、ということであるが、私の故郷と言えば、【子どもの頃の思い出】ということばがぴったりである。色々なことが忘却の彼方に吹っ飛んで行く最近であるが、懐かしい故郷のことは、忘れずに焼きついている。近所のおっちゃんやおばちゃん、幼稚園の先生の袴姿、友達が真新しい服を着てきたときの嬉しそうな顔、小学校入学前のクラス分けのテスト?での出来事、雪の朝、6年生のお姉さんたちが数人、下駄箱の前で、箒を持って立っていて、入って来る子の鞄や肩に積もった雪を払ってくれたこと、あるとき、「はい後ろ向いて」といって、私をクルリと後ろ向きにしたとたん、「あれっ、この子、ランドセル忘れてきたわ」と、素っ頓狂な声をあげたこと、しまったと、慌てて外に跳び出すと、帽子も被らず、頭を真っ白にした父が、ランドセルを「ほら」と手渡してくれたこと、遠足の日、家に帰ってほっとしているときの、小学校の火事騒ぎ、泣きながら燃えている校舎を見つめていたなどなど、大小の事柄が、鮮明すぎるほどに憶えているから不思議である。

 「忘れない」ということは、思い出すことをかなり繰り返してきたということでもあろうし、キャベツのように、芯に近い思い出は、しっかりと巻き込んでいるのかもしれない。

 トシを重ねて行くことの楽しみの一つに、昔を思い出して喜怒哀楽いずれもにっこりと楽しめることがある。老いていく知恵かもしれない。

 

10 件のコメント:

  1. 雪を払ってくれる上級生って優しいですね。
    ランドセルを届けてくれたお父さんの話、映画のワンシーンのように
    感動的です

    私も小学生のときに、忘れ物を泣きながら家まで取りに帰った
    ことが何度もありました。切ない思い出です

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    1. bagusさん、お久しぶりでーす。(^^)
      切ない思いでも懐かしくほっかりしてきますね。

      ふふふっ。ランドセルを忘れる子は、まあ、あまりいませんでしょうね。子どものころから、私は、ぬけていました。(笑)

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    2. さすがに私はランドセルを忘れたことはなかったです。
      古女さんは大物だったんですね。道産子の大らかさでしょうか。

      友人の河野さんが「古女さんがコーラスを見に来てくださった。仏さんのようなお顔でした。年をとってもこんな表情でいられたらいいなあ。理想の人です」とメールをくれました

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    3. あれまあ、Kさんは、私のこと、過剰評価されていますからね。仏様のようなお顔になりたいものです。トシとりますと、たいていのときは、にこにこ顔になりますね。何もかもが、緩んできますからね。(笑)

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  2. そうですね~。トシをとりますと、昔の懐かしい思い出を、何度も振り返るものですね。わたしは何故か、自分自身の子供の頃よりも、自分の子供たちの小さかった頃を、良く思い出します。自分の子供たちが小さかった頃は、まだ家庭の姿が有ったからでしょうね。 特に子供たちが小学生の頃のことは、楽しい思い出として心に残っています。その中でも、運動会のことは、何度も思い出します。 今年の正月は、神社の帰りに小学校を訪ね、ボーと、運動場を眺めたりしていました。人が見たら、あのジイさん何してるのかなと、思ったことでしょうね^^;

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    1. そうですね。私も、子どものことは、よく思います。それと、やはり古里を遠く離れた者にとっては、子どもの頃の思い出は、よく思い出すのでしょうね。子どもの運動会は、6年間で、1どしか行けませんでした。勤め先の学校と重なったりして。そのときのことは忘れられません。

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  3. 子供の応援の為、60歳で故郷を離れました。故郷恋しの思いは募るばかりでしたよ。故郷でマンションを買って土日に戻ることにしたり・・孫が大学に入ったのをきっかけに、とうとう引き上げてきてしまいました。理屈抜きで故郷はいいところなんでしょうね。

    私は小さいときの事はあまりはっきり覚えていません。覚えているのは生家のたたずまいや、ある特定の場面、そう多くはないです。

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    1. mimiさんは、子どもさんのため、孫さんのために、手助けなさってきましたね。なかなかできませんよ。
      老後、娘さんたちが、大事にしてくださっているのは、当然ですね。

      思い出は、人それぞれでしょうね。小さいときのこと、今になって、反省したりしています。(笑)

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  4.  唐突ですが、初めまして。少し前から楽しく読ませていただいております。時には余計なことを言いたくてムズムズしたこともありましたが、自重いたしてきました。これと言った理由はありませんが、ついに禁を解いてご挨拶申し上げます。料理屋の土瓶みたいになるかもしれませんが、よろしくお付き合いください。
    私の故郷は現住地と余り離れていず、時間差による望郷しかありません。しかも洟垂れ小僧の記憶しかない平凡でアクセントのないものでした。
    よろしく。

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    1. 一歩庵ご主人さま、ようこそおいでくださいました。よろしくお願いします。ここは、気楽なところです。嵐も吹きませんから、何なりと、思うことおっしゃって、できましたら、ご指導もよろしくね。

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