2014年10月19日日曜日

生きる


T君は、私の最終の勤務先だった筋ジストロフィーの子供たちの養護学校の卒業生です。私の勤めていたときは、高等部の生徒でした。直接教えていたわけではありませんが、毎日、顔をあわせていましたし、車椅子を押したり、話をしたりして、私の心のうちでは、けっこう親しみのある生徒でした。

今は、人工呼吸器を付けて生活しているT君のところへ、同僚だった仲良しのK先生と、昨日陣中見舞いに行ってきました。もう、それが毎年の行事となり、お互いの楽しみにもなっています。

Tくんは、20歳のとき、病院の美人看護師さんと恋愛結婚をして、高松のアパートで、生活しています。現在40歳になられました。

24時間、誰かが、そばにいなければなりませんので、ヘルパーさんや、ボランティアの方たちの手助けをうけながらの生活です。
筋ジスには、いろいろあって、タイプによっては、病気の進行が遅く、長生きなさっている方は、多いのですが、そうではないタイプのTさんは、不思議と言ってはなんですが、医者が驚くほどの活き活き生活なのです。

Tさんだけではなく、もうひとり、YくんもT君同様、仙台で結婚し、呼吸器をつけながらも、画家として活躍をしています。

このお二人は、それぞれに生きる目標をもっていて、僅かに動く指先を使い、絵を描いたり、デザインしたり、作曲したり、作詞したりしているのです。

考えてみますと、お二人とも、【生きる】ということに、とても積極的で、前向きです。卒業後の暮らしをどこにするか、ということについても、Yくんは、自分で研究して、福祉の街といわれている仙台に、単身車椅子で乗り込みました。結婚にも、ふたりは、積極的に突き進みました。卒業後も、学ぶことには、とても熱心でした。

そうした前向きのすばらしい情熱は、彼等の病魔との闘いにも、大きく影響していると思うのです。

仙台には、遠くてなかなか行くことはできませんが、出来るだけの応援をしたいと思っています。

昨日の高松行きも、「頑張ってね」と言うよりは、「私もあなたたちの生きる力のお裾わけをしていただいて、元気貰いました。有難う」の気持ちで岐路に着きました。

2 件のコメント:

  1. 毎年の陣中見舞いご苦労様です。筋ジスで生きて行くって大変な事なんでしょうね。やっぱり精神的な物が影響するんでしょうか。常識で測れない事、この世にいっぱいあるんですね。

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    1. そういうことですね。結婚した二人の生命力は、ほんとにすばらしいです。

      医学的には、まだ病気が治る手立てはない状態なのですが、希望はもっています。早く実際に人体に使用出来る、実験であってもいいから、薬ができればと思います。

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