2015年1月27日火曜日

お風呂


寒い夜は、お風呂に入って温もるのが一番手っとり早いのだが、トシをとると、それも億劫になってくる。まず、脱衣所を温めることからしなければならない。お風呂に入っても、身体や頭を洗うには、どうしても湯船から出るので、身体が冷える。完全な寒さ対策をしていないので仕方がない。毎日入りたいのだが、つい1日置きになったりする。

こんなとき、お風呂屋さんが近くにあると便利だ。近くにはないのだが、車で10分も走ると、吉野川温泉というお風呂屋さんがあるので、昨夜も行って、しっかり温もって来た。

私が女学校2年生まで住んでいたところは、北海道の帯広という小都市の街中だったので、家にお風呂のある家庭は少なく、ほとんどが銭湯に通っていたので、何の抵抗もないのだが、誰もが入る湯船は不衛生だとおっしゃって、入らない方がいる。我が夫がそうだった。せっかく温泉に行っても、小さな内風呂にしか入らなかった。

話が後先になるが、田舎に引っ越してきて困ったのが銭湯が無いことだった。借りた家にはお風呂が無かった。当時田舎には、【貰い風呂】という習慣があった。お風呂の無い家は、珍しくなかった。近所の親戚A家に風呂をたてたら(沸かすことをたてる、と言っていた)わざわざおばちゃんが「風呂たてたけん、どうぞ」と言いにきてくれる。おばちゃんと言ってももう50歳にもなる方だ。

その日は、その家の茶の間には、5人も6人もが、風呂を貰いに集まってきて、雑談をしていた。おばちゃんは、外の風呂の下で麦わらをくべたり、木をくべたりしながら、バケツで水を運ぶ。何しろ、どんどん水を入れて沸かさないと、湯船の湯が無くなってしまう。(笑)おばちゃんは、最後の残り湯に入る。大変な仕事だつたが、文句など聞いたことがなかった。

我が家は、このような貰い風呂では、満足に身体も洗えないと、早急に五右衛門風呂というやつを狭い庭の片隅に作ったのだが、水道があるわけではなく、井戸から水をくみ上げてバケツで入れるのだから、毎日は出来なかった。

結婚しても、風呂は外で、釣瓶井戸から、バケツで運んでいた。夫が見かねて自家水道のモーターを付け、不格好ながら、やっと水道の蛇口をひねると井戸水が、風呂場や台所に入ってきた。その時の嬉しかったことは、今も忘れられない。

あれこれと、お風呂以外にも、思い出がたくさんあるのだが、今はもう、夢のような生活と様変わりしてしまった。そのツケが、何となく怖いのだが……。

 

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