2014年9月19日金曜日

秋の庭


庭の片隅に、彼岸花が咲きだした。今年のように燃えもせず、ただむし暑い夏であっても、カンカン照りつける夏であっても、彼岸花は、きっちりと彼岸に花を咲かせるから、実に律儀な花である。

ちょっと横に目を移すと、白萩の花も今を盛りと咲き競っている。草かんむりに秋と書いて萩と読むのは、秋を代表する草花であることの証拠だろう。

裏庭に回ると、栗の古木が二本。イガを付けたままの栗が一面に落ちている。そのほとんどが虫食いの栗なので食べられそうにもない。消毒をしないので虫の付き放題だ。実の入らない時期から落ち始めるので、もう殆ど落ちてしまった。栗は食べられないし、花を咲かす頃は、へんな匂いをまき散らし、そばには洗濯物など干すと、べっとりとしてしまうし、ろくなことない栗の木だが、さて切ってしまうのも可哀想な気がする。

そういえば、今年も柿は不作のようだ。2本の柿の木を見上げると、実は数えるほどしか止まっていない。花は沢山さいて、小さな実がべったり枝にしがみついていたのだが、大きくならぬうちに、ポタポタと落ちてしまった。自分の体力に合わせて実を落としてしまうらしい。植物も、我が身大事ということだろう。

この柿の木も、20年も前、ぱったりと実をつけぬ年が4,5年続いたことがある。私が、「実のならん柿の木なんかいらんのでよ。今年生らなかったら切ってしまうからな」と言いながら幹をポンポン叩いた。そうしたら、その年から実を再び付け始めたのだ。私のことばが通じたわけではないのだが、こんなことがあると、ついついことばをかけてしまう。「今年はもう実をつける元気もなくなったんかいな。年寄りになったなあ、あんたも」と。

そして台風が来るときは、「頑張って倒されんように、ふんばっとるんよ」と。(笑)

ま、手入れもしてやらず、下草も伸び放題の悪条件の庭に生き続けなければならない木々たちだ。たまには優しいことばのひとつもかけてやらねばと思っている。

 

2 件のコメント:

  1. 植物も人間が優しく声をっかけてやるとよく育つそうですよ。何年か前に何かの本で読みました。頼りない話ですが・・・・

    我が家の庭には今、虎の尾とへちまが咲いています。部屋の窓からは日毎に熟れてゆく柿が見えます。このあたり曼珠沙華はすっかり影をひそめてしまいました。、

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    1. 植物に、ことばをかけたり、音楽を聞かせたりすることで、成長が促進されるらしいですが、何とも不思議ですね。水も、そういうことをすると、同じような条件でも、腐りがちがうとか、効いたこともありますが、ちょっと理解に苦しみます。(笑)

      昔は、土手には、月見草もたくさんさいていましたが、今は、見かけたことありません。自然消滅ということもあるのでしょうかねえ。

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