2012年8月24日金曜日

さようなら……


親しくしていただいている友人のご主人が亡くなられて十日近くなりました。

彼女は、心からご主人を尊敬なさっておられました。時々私もお目にかかっておりましたが、とてもお優しい方で、ご夫婦仲も大変よくて、ご病気で寝込まれるまでは、毎日、仲良く晩酌をなさり、色々と語り合っていらっしゃったようです。すらりと背の高い彼は、美男でもありました。彼女も素敵な明るい女性ですから、ひとも羨む似合いのご夫婦でした。

彼女は、「夫は何かにつけて私を指導してくれるので、安心して何でもできる」とおっしゃって、色々な活動や人様のお世話をなさってきました。

そんなご主人が、体調をくずされ、入退院を繰り返しておられましたが、「もう、病院はいやだ」とおっしゃってからは、お家で、手厚い看病をなさっていたのですが、病状が急変なさって亡くなられました。

まるで、仏さまのように、苦しむこともなく、安らかに旅立たれたと伺いました。

 
お通夜、お葬式と、悲しみに歯をくいしばっておられた彼女の思いが、私の胸にもびりびりと伝わってきました。

 
「さようなら」・・・私は、手を合わせながら仏様にお別れをいたしました。

日本人の、最後の別れは「さようなら」です。もう、この世で会うことは出来ない、本当の「さようなら」なのです。

 
以前、私は、このことばの語源を辞書で引いたことがあります。

【『左様にならねばならぬのなら(そうならねばならぬのなら)』覚悟を決めて悲しみを内に耐えて定めに従うこと】でした。さようならの語源は、まさに日本人の精神の美しさを表したことばで、素晴らしいことばであることを知りました。

 
私たちは、いつの日か「さようなら」とこの世に分かれを告げる日がやってまいります。そんな時、この美しい「さようなら」のような終わりを迎えられたなら、どんなにか幸せかと、思うものであります。

 

4 件のコメント:

  1. さようならの語源を正確に知ることが出来ました。感謝します。
    終わりよければすべてよし。と言う言葉がありますね。どういう風に人生の幕引きができるのか、とても気になっています。

    でも、これだけは、その時が来なければわかりません。その時が来れば慌ててもどうしようもない訳で・・・天にお任せするより仕方ないか、と思っています。

    返信削除
    返信
    1. 何とか元気に長生きして、ある日、眠るがごとく、幕を下ろす、というふうにできれば、理想ですね。長生きしていたら、そんな終わり方出来るかもね。(^^)

      削除
  2. 本当に優しいご主人さんでしたね。何度か私の車に乗ってくれました、それも酒席の後の事です。お酒が入っていたから私の様な運転でも乗ってくださったのかもしれませんね、そして道順を教えてくれました。沢山お酒入っていたように思いましたが、穏やかに話をしながら家に着くまでしっかりしておられ、お礼を言ってくださいました。
    本当にお似合いのご夫婦でしたね。今は一段と寂しさが増しているかも知れませんね・・・

    返信削除
    返信
    1. しばらくは、悲しみの涙で明け暮れすることでしょうね。でも、月日はありがたいものです。きっと、笑顔ももどってくることでしょう。

      削除