2014年7月15日火曜日

ボタン付け


ブラウスのボタンが1つちぎれている。珍しいこともあるものだ。
最近は、既製服のボタンであっても、ちぎれ落ちることは、めったになくなった。ボタンも既製服はミシンで付けるので、ボタンの横に、ちょっとした糸の先が残っていたりして、それを引っ張ると、キリキリキリとほどけて、ポロリとボタンが落ちたものだが、最近は、そうした粗雑なものも少なくなっている。

最近の若い人たちは、【針仕事】などは、したことがないだろう。仕事というのだから、かなりの時間をかけて、着物を縫ったり、繕いものをしたりしたものだ。着物はもう、家で縫う方は、ほとんどいなくなったし、洋服のちょっとした裾揚げとか、きつくなった脇を出すといったことも、修繕専門のお店に持って行く方が多い。第一、家庭にミシンがない。手縫いですると、綺麗に仕上がらない。針を持つことは、雑巾を縫うか、ボタン付けくらいなものだろう。

かく言う私めも、もうミシンはないので、ほとんどの直しは、自分ではしていない。昔は、既製服など、少なかったので、普段着の洋服は、自分でつくっていたというのに。

ブラウスのボタンを付けながら、ふとボタン付けの失敗談を思い出した。新任教員の頃、ある日直の日、「暑いなあ」といいながら、窓際に立って、渋団扇で風を胸元に送りこんでいた教頭先生が、ワイシャツの袖をまくりあげた時、袖のボタンがプチッとちぎれて私の目の前に飛んできた。
私は親切心で、隣の椅子に座っていただき、そのボタンを付けて差し上げたのだが、その時、針がボタン穴からなかなか抜けなくて、思いっきり力まかせに引き抜いたところ、運悪くそこに教頭先生の額があったものだから、太い木綿針を突き刺してしまったのだ。
教頭先生は、「あっ」とも「うっ」ともつかぬ声を発せられたように記憶しているが、私は「ギャーッ」と大声をあげた。【下手の長糸】というやつだったのだ。

それからは、ボタン付けの針は、真上に引き抜いている。自分のおでこを刺すぶんには、誰にも遠慮はいらない。人を刺したのは、あれきりだ。()

2 件のコメント:

  1. 針は先が尖っていますのでね。これってお裁縫の時間に煩く言われたような記憶があるのですが・・・・お2人とも災難でしたね。でも、目の玉でなくてよかった。

    これから先、家庭でまったく針が使えないと、非常の時、困るんじゃないかと、余計な心配をします。自分でできる事は、多い方が安心だと思いますがどうでしょう。

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  2. そうでしたねえ。針は、いつもきちんと数えて裁縫箱の蓋をしていました。刺さった針が体内に入ると、身体中を駆け巡って、心臓に刺さったら死ぬって。本当かしら。

    何事も自分でできるにこしたことありませんけど、難しいですね。トシ寄せると、だんだん出来なくなってくるわ、私たちも。

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