2014年5月16日金曜日

朝ドラを見ながら……


朝食をとりながら、BSTVで7時半からの朝ドラ2本を見ている。【花子とアン】や、続いての再放送している【カーネーション】昨年の【ごちそうさん】などは、昭和一桁生まれの者にとっては、とても懐かしい時代を思い出させてくれるので、特に親しみが持てるのだ。

今放映中の【花子とアン】は、花子も白蓮も、恋愛ではその時代を騒がせた実在の女性なので、ミーハー的にも面白そうだ。私が成人してからも、花子さん、白蓮さんは、まだこの世に生きていらしたので、これからの二人の人生が、どのように表現されていくのか、楽しみだ。

今の若い人たちから見ると、汽車に乗っての旅が、大変なことだったことが不思議に思うかもしれないが、戦前や戦中は、東京から大阪間であっても、簡単には行き来はできなかったのだ。

ましてや北海道となると、今なら外国なみだろう。私が小学校3年生のとき、父は、結婚以来、始めて北海道から徳島に、私を連れて里帰りしたのだ。何日かかけての里帰りだった。

徳島駅に着いてから、バスに乗って、実家までの田舎道をガタゴトと1じかんほども走ったろうか。運転手さんが「お客さん、この次が役場前っちゅう停留所なんやけど、家は、役場のどっちにあるんで?」と父に尋ねた。外ばかり見ていた父が、「ちょっと待ってつかいよ。ええとう……このあたりと思うんじゃけんど……あっ、あそこじゃ。あの家じゃ」と、指差したその先には、樹に囲まれた、藁屋根と蔵の瓦屋根が見えていた。
私は、今まで聞いたこともない訛りの田舎ことばが、父の口から出たものだから、ひどく驚いてしまった。バスは急停車して、私たちを下ろしてくれた。むろん、停留所ではない。父の実家に一番近い細道の脇で、おろしてくれたのだ。

祖父母が、10年ぶりに会った息子と、始めて見る孫を前にして、野良着の袖や、首に巻いた手ぬぐいで、涙を拭きながら喜んでいた姿が、今も目に浮かぶ。昭和14年の夏休みだった。

今は便利になったものだ。当時も飛行機はあったのだが、庶民が飛行機で旅をするなんて、考えてもいなかった時代である。

横道にそれたが、朝ドラを見ながら、色々なことを思い出したり、あっ、それはちょっと大げさすぎるねえ、などなどつぶやきながら、楽しいひと時をおくっている。

 

2 件のコメント:

  1. 朝ドラは見ていないのですが白蓮さんの家出事件は私たちがかなり大きくなってからの事だったんでしょうね。覚えていますから・・・

    物心ついてからの80年余、天地がひっくりかえったほどの社会の変貌です。鴻毛の軽さだった筈の死が今は宇宙より重い。鋤鍬や牛馬の労働を知る人もなく、草の根をあさる飢えを経験せず、敵だった筈の贅沢を奨励する。

    この先どんな変化が来ても驚かない事ですね。労働時間を短くせよと叫んでも拷問される事もない、いい世の中になったんですから少々の事で泣き言を言わない。有為転変は世の習い、昨日っ有った事は、明日あるかもしれません。

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    1. 本当に随分変わりましたね。あれよあれよと言う間に、生活も環境も変わりました。人間まで変わりました。

      過ぎたるは及ばざるが……のように、進み過ぎた科学が不幸を呼んでしまいましたが……。

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