2012年12月8日土曜日

温泉


12月8日。嫌な思い出がよみがえってくる日だが、こうした日を忘れることなく、再び戦争など始めるような国をつくらないように、と、心しなければならない。

今日もめっぽう寒い。真冬並みの寒さらしい。
寒い時期になると、温泉が恋しくなってくる。家のお風呂では、身体の芯から温まることが出来にくい。時間をかければ、出来ないことはないのだが、一坪ほどの風呂場では、あの大きな湯船の中で湯けむりに咽びながら、ゆったりと手足を伸ばしている気分は、味わえない。

何年か前の話になるが、あるグループに加わって温泉に行った。巨大な建物の中に、劇場有り、飲み屋あり、土産物屋ありで、一歩中に入ると、もう、外界とは無縁で何日でも暮らせるような温泉宿だった。うっかり者は、迷子になってしまいそうなところである。

ただ、温泉情緒というような、贅沢な気分は味わえなかった。情緒よりも、飲んで騒いで歌ってドブン。お土産買ってハイさよなら、という塩梅だ。

温泉で懐かしいのは、昔、四人の仲良しが訪れた山陰の静かな温泉である。道中降りだした雪が、宿に着く頃には、足首が埋まるほどに積もっており、通された部屋の真ん中には、炭火の切り炬燵。雪見障子のガラス越しに、庭の木々が、白い布を被った怖くも何ともないオバケのように立っていて、これもまた面白い風景だった。たしか、みしみしと音がする廊下を歩いて、湯けむりで顔も定かに見えぬ湯船に、じっくりと浸かって温まった記憶がある。

部屋に帰ってみると、それぞれが炬燵に足を入れて8本の足が十字になるように蒲団を敷いてくれてあった。

夜中、目がさめた。皆が目をさましたようだ。「少し熱いなあ」と言って、だれかが逆さに向きを変えて、炬燵の炭火に灰を山のように被せてくれた。

たかが温泉だが、いつまでも忘れられない思い出となっている。このような、ホッとする鄙びた温泉は、今はもうなくなっているだろう。あるのだったら、また行ってみたいと思う。

2 件のコメント:

  1. 温泉にも色々ありますね。実は私は温泉はあまり好きではないのです。心臓のせいで長いこと湯に入っているのが苦しいのです。

    子供の頃からで、年のせいではないと思いますが、何度心臓の検査受けても、大きな異常はないと言われます。

    マ、そんなことで、温泉には余り入りませんが、誰かと旅するとなると先ず温泉が出てきますね。

    ここへ入ってから毎年子供たちが旅に連れ出してくれました。歩行が不安定なので車椅子つきです。でも、3年ほど前から、娘達は公私ともに忙しくなるし、私は体調がよくないしで、機会が絶えました。最後は私が「もう近間にして」と言ったので道後温泉でした。温泉は烏の行水でしたが、雨の道後はなかなか良かったです。

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    1. 道後温泉は何度も行きましたが、いいところですね。

      最近は四国にも温泉が幾つもできましたが、何となく銭湯のような温泉が多いです。

      やはり、本物の温泉がわいて、いろいろと効能のある温泉がいいです。

      道後は、古くからある温泉のようですし、建物も、いいですね。

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