2014年2月4日火曜日

その後の卵の話その2


☆気になる卵とコレステロールのこと

コレステロールに関する学術的研究があります。


卵に関する話題で必ず出てくるのがコレステロールの話です。
最近はコレステロールにも悪玉(LDL)と善玉(HDL)という分類がされ、話が複雑になっています。

悪者扱いされているコレステロールですが、人間や動物が生きていくうえでは必要不可欠な栄養素です。食事から取り入れた脂肪の消化吸収に必要な胆汁酸やホルモンの原料になるもので、LDLは血管などに必要なコレステロールを運び、HDLは余分なコレステロールを肝臓に回収する働きを持っています。適当な量であればLDLHDLも私たちの体の中には両方存在しなければならないものなのです。
ただし、LDLが増えすぎると血管壁に入り込み、動脈硬化を促進します。一方、HDLは血管壁に付着したコレステロールを回収し、動脈硬化の進行をおさえる働きをします。

学術的には、私たちがTVなどで耳にする悪玉コレステロールと言われている成分も、卵を食べた結果、増えるということはありません。
卵黄に含まれているレシチンというリン脂質はLDL値を低下させる働きがあり、また卵に含まれるオレイン酸という脂肪酸は、LDL値の低下とHDL値を増やす働きがあることがわかっています。
普通に生産された卵であれば、コレステロールを気にせず、安心してお召し上がりいただけます。

近年の研究で、食事以外に卵を13個ずつ、2週間に渡って食べ続ける、といった卵の摂取とコレステロールの因果関係を研究する実験がいくつか行われました。
どの実験でも、血中コレステロール値にはほとんど変化が見られませんでした。

☆コレステロールに関する俗説
「卵を食べるとコレステロール値があがる」という俗説は、今から100年以上も前のロシアでの実験にさかのぼります。
実験では、"ウサギに卵を食べさせたところ、血中コレステロールが増加し、動脈硬化が起こった。よって、コレステロールは動脈硬化の原因だ!"と結論づけられたため、上記のような悪いイメージが定着しました。
しかし、ウサギは草食動物。植物にはコレステロールは含まれていません。そんな草食動物のウサギに動物性の卵を食べさせれば、コレステロール値が急上昇してしまうのは当たり前。実験の前提自体が現在の科学では考えられず、これが誤解の原因となってしまったのです。

 
☆生卵と加熱した卵との栄養比較

オムレツやプリンなど他の食材や調味料と合わせる場合を除き、単純に生卵とゆで卵で栄養価を比較してみますと、卵は、加熱をすると熱に弱いビタミンB群などの減少が多少ありますが、基本的に栄養価に大きな差はありません。
ただ、細菌を溶かす働きを持つリゾチームなどの成分は、熱にとても弱く、失われてしまうため、加熱した卵の方が生卵より保存できる期間は短くなりますので注意して下さい。

 

ということです。ご参考までに。

 

 

2 件のコメント:

  1. ごまめ先生、卵とコレステロールの講義とてもよく分かりました。コレステロールは気にすることは無いという事ですね。安心して食べましょう。

    ところで、ごまめ先生は養鶏場をご覧になりましたか。私は退職後3か月ほど養鶏組合でバイトをした事があります。雛は孵ると雄と弱い雌は淘汰され、卵を産める雌だけ狭いケージに押し込まれてひたすら餌を食べ抗生物質を与えられ卵を産み続けるんです。

    卵は食品ですが命でもある訳。弱い卵からいい鶏は生まれません。私は地上を走り回る鶏を飼い、その卵を頂くのが夢でしたが、今となっては叶いそうもありません。

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    1. 戦後という昔、我が家でも、30羽ほどの鶏を飼って、母がお金を稼いでいたことがありました。むろん、ゲージの中でです。「狭いところで、可哀想に」と思った記憶があります。やはり、卵の違いはあるでしょうね。

      mimiさんの田舎なら、5羽くらいなら、飼うこと出来るのでは? 無理かしらねえ。(^^)

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