2012年4月29日日曜日

住まいあれこれ

知人のHさんは、私と同年である。最近、住まいを変えられた。同じ市内で、新しく医院が建てられたケアハウスに、ご夫婦で入居するとのこと。
彼女は私と同様、庭続きに息子さん夫婦の居宅があるので、お元気なうちは、そこでずっと住まわれるのかと思っていたのだが、どうもそうはいかなくなったようだ。

大きな理由は、ご主人の目が悪くなられて、車の運転が出来なくなったことらしい。息子さん夫婦は、共働きで、いつも留守なので、三度の食事その他の買い物は、どうしても出て行かねばならない。近くには、昔のように何でも売っている便利なお店が無くなっているのだ。市内といっても、片田舎であり、車は必需品だった。
たまたま、引っ越し先は、大きなスーパーマーケットの近くのケアハウスなので、自炊しても、買い物は便利とのこと。

また、老夫婦そろって家の中ばかりの暮らしでは、刺激がなさ過ぎる、とおっしゃる。ケアハウスなら、ちょっとした社交の広場もあるし、皆で出かける機会もあるだろうし、新しい施設なので、これから入居者同士の仲間作りも出来やすいからと、明るい希望も持っていらっしゃる。
なかなか、ここまでの決断は大変だったと思う。Hさんご夫婦の前向きな行動力に、エールを送りたい。

ただ、全く心配がなくもない。
一軒屋の広い家に住みなれていた者が、ホテル並みの一室での生活は、慣れるまではちょっと息がつまりそうな気がしないでもない。夫婦それぞれが書斎をもっていた、というような場合はなおのこと。いくら夫婦といえども、24時間、相手の顔や背中が、視界におさまっているわけだから。……なんて思ったのだが、考えてみると、その心配はなさそうだ。広い我が家にときどき帰ったらいいのだ。家は、そのままにしてあるのだから。

昔よく、お父さん連中が、口にしていたぼやきに、「居場所がない」というのがあった。女は台所と居間が居場所。男は夜、仕事から帰ってきても、くつろぐ自分専用の部屋がない、ということである。
そのために、まっすぐ家に帰らず、居酒屋の暖簾をくぐっている、ということも言われていた。私のような年代の者は、当時の住宅事情を知っているだけに、さもありなむと思う。

最近は、お金をあまり持たない若い夫婦も、けっこう家を建てている。家賃程度の支払いで、家が建てられる、という事情があるようだ。親からの援助もあるやもしれない。
お父さんはもちろん、チビちゃんたちまでもが、個室を与えられている時代だ。それがいいか、悪いかは別として……。

そして親たちは、老後の生活を、施設に求めなければならないことも起こり得る。
理想的と言われてきた、「スープの冷めない距離」に親子が住んでいても、施設にお世話になる可能性は、ないとはいえないようだ。

2 件のコメント:

  1. ま、住まいの問題はひとそれぞれの人生観に左右されることが多いと思います。広いのも狭いのも、いいとこと悪いとかがあります。

    ただ体が自由に動かなくなると広い家は住みにくいでしょうね。いつもお客さんがあるというような方は、広い家がいい。でも、広い家では、お客さんにお茶を出すのも大変です。ケアハウスに住むなら不要なものを持ち帰れる所が必要ですね。お布団や、カーペットを季節ごとに保管するところです。

    2所帯住宅は私は反対ですね。大体がうまくいっていないです。ケアハウスに住まうには、馴れるまで少々(2,3か月)時間がかかります。馴れると快適ですよ。トイレも10歩けばいい。キッチンも10歩の範囲です。

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    1. mimiさんのおっしゃること、説得力があってとてもよく解ります。

      季節によっては不要なモノは、各自が持ち帰るのですか?ハウスには、そういったモノを置いておくような倉庫をつくってほしいですね。

      2世帯住宅は、難しいのかなあ。お互いに思いやりがないとねえ・・・。

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