お金持ちは……

ある外国の大手の会社が、税金対策に、株券発行だか何だか知らないが、ニュースになっているのを聞きながら、「たくさんのお金持ちなんだから、税金はどんどん払ってもいいじゃないの」なんて思うのは、貧乏人の庶民が考えることなのだろうか。

 

思い出したことがある。

もうかなり前になるが、新聞で曽野綾子さんが、「無償の救援の難しさ」について書かれていた。

彼女は、神を信じる敬虔なお方。いろいろな援助活動を長年なさってきたが、その内容は、次のようなことだった。

「人を援助するということに、いささかの効果、効用を考えてはならないし、俗念どころか、時には、精神的不快や、金銭的出費の痛みをともなうこともある。人間や、社会の評価をアテにするものではない。日本人は、実に多くの暖かい心の持ち主がいる。ただ、金持ちは金を出さず、庶民ほど出してくださることが分かった」と。

金持ちや事業家は、税金対策や、売名行為のためなら出すが、それ以外は出し渋る方が多いのだろう。……なるほど、これは、世界共通なのだと納得。（笑）

ついでに書くと、ただ、「日本人は、疑うことをあまりしない。これは、いいことではない。善意のお金が、不正に使われることはよくあること。こうしたことのないよう、監視の目を光らせることも、義務の一つである」とも書かれていた。

曽野綾子さんは、世界をまたに活動されているので、外国に於いては、そのようなことも必要なのだろう。とくに、中国などは、おっぴらに上から順に、何段階かでピンハネする、などと聞かされたこともある。

私たち庶民は、少ない金額ではあるが、義援金だの、災害援助だのは、ただただ、困っている人たちを助けたい一心で、何の邪念もないのが普通だし、そのお金が、どう使われたか、ということにも、あまり目を光らせたりはしてこなかったように思う。罹災者のために、100％有効に使われたと信じているし、こうした事件で、「日本人も、まだまだ捨てたものじゃない。世界に誇れる人種である」ということを学んだのだ。

こうした災害時の義援金だけではなく、ちょっとしたこと身近なお隣で困っている方、身内で助けを求めている人、そうした人たちにも、暖かい手を差し伸べるということは、大切なことだと思う。願わくば、日本人独特の情緒の範疇から、更に一歩前進して、義務として手を差し伸べる、ということが大切ではなかろうかと思うのだが……。