2013年5月30日木曜日

田植え


私の家のあるこの辺りは、田植えが遅い。いつもなら6月に入ってからの田植えなのだが、今年はもう何日か前に田植えが終わっている。ただ、不思議なことに、田に水をはって、苗代かきをしても、いつも聞こえる蛙の声が聞こえない。まだ寝ぼけているのだろうか。()

田植えといっても、朝早く軽自動車に苗を積んでやってきた人と、田植え機に乗ってきた人の二人だけ。機械で一人がとんとんと植えるのだから、早いものだ。またたく間に植え終わってしまう。あとの一人が、田の周りの植え残しのところに、手で植えていくだけだ。今年はそれもしなかったのか、田のまわりに植え残したような空きがかなりある。

手で植えていた時は、升目の定規で何人かが横に並んで植えていたので、綺麗な絣模様が出来あがっていくのだが、機械植えは、定規を当てて植えるようには綺麗に植えることは難しい。ちょっとハンドルの加減で、植えた筋がカーブを描いたりしている。

手植えの時は、在所の人達は協力し合って植えていた。田植えだけではない。消毒の時も助け合いするのだ。そうしたことが、その在所の絆を強いものにしていたのだが、今はもう、助け合いの農作業は跡形も無くなっている。都会並みになっていく農村だが、そんな農村であっても、若い人たちはあまり好まないようだ。都会の様な人間関係が、世話がないと思っているようだ。

この頃よく言われている災害時のときなど、巧く助け合っていけるのかと心配する。

そんな田舎は、もう農作業をする人たちが、かなりの年寄りになりつつある。農業を継ぐ跡取りがいないのだ。専業農家では、生活が大変なので若者は皆さんが勤めに出ている。そうした人たちが退職後、親の跡継ぎをして農業をしていくのは難しそうだ。結局専業農家に土地を預けて、作って貰うしかない。日本の農業は、そういう形にだんだん変わっていくのだろう。

我が家も、私の代にはもう農業はしていない。わずかの土地ではあるが、専業農家に耕作して頂いている。ただし、昔のように地主と小作の関係ではない。農協や役場が間に入って契約しているが、小作ではないので、年貢は一円も頂いてはいない。ただ、戦後の農地改革と違うのは、返してくださいと言えば、返していただける、ということが違う。しかし、それもどう法律が変わるか分からないので、どうなることか……。
 
あっ?  蛙?の声かしら。何か聞こえるなあ……。

 

2 件のコメント:

  1. 機械の田植えも結構大変みたいですよ。私の実家もご多分に漏れずの状態。周辺みんな跡継ぎのいない家ばかりで、土地を借りてくれるとこなんかないみたいです。

    実家の甥ももう70代半ば、どうなるんだろう、とハラハラしています。

    返信削除
    返信
    1. 土地を持っていることが、負担になる時代ですよね。税金は、自分持ち、土地を借りて頂く時代です。年貢などは、ありません。ま、その土地によって、しっかりと儲かる蓮根畑のような土地は知りませんが、単にニンジンやお米だけ作る田は、年貢など頂けません。
      もし、いただいていたら、いざというときに、(昔の農地改革)返して頂けないと言う不安があるので、役場や農協の仲立ちで、契約しているのが現状ですね。

      削除