2013年5月28日火曜日

タルトの思い出


古い空き箱を整理していたら、タルトの絵のついたしおりが出てきた。

それを見て、もう20年も昔のことになるのだが、上の孫の幼い時のことを思い出してひとり笑っている。

今は、S寸を着るほどの腰回りで、太くはない普通の体型の孫娘なのだが、幼いころは、かなり太かった。パパもママも、中肉中背。そんなに太くなる体質ではないのに太りだしたのは、食欲が人並外れて旺盛だったのが原因だったようだ。息子や嫁には言えなかったが、(これは、お爺ちゃんに似たに違いない。【大女】になるのかも)と心配だった。

私の夫は、幼い時から食欲が人一倍旺盛で、太くて大きく、小学生というのに学生服を誂えなければならぬほどだった、という話を義母から聞いていたのだ。
成人してからも、お相撲さんタイプではなかったが、それでも食欲旺盛。大柄でがっしりとした体格だったものだから【大男】なのだ。胃を悪くして、半分切除したとき、お医者に「大きな胃だったので、半分切っても大丈夫。普通に食べられますから」と言われたのだ。

当時の孫は、金魚をみても、水族館の魚をみても、「美味しそうなびんびが泳いでるぅ」と目を輝かせる子だった。

親は、小さいときに太ってしまうと、おとなになってからも、太る体質になる、ということで、極力おやつなどを控えて制限していたのだが、爺さんはそんな孫が可哀想で、親に内緒で喫茶店に連れて行き、蜜豆だのチョコのたっぷり入ったアイスクリームなど食べさせたりするのだ。

ある日、庭続きの爺婆の家に、3歳の彼女が駆け込んできた。運悪く、頂き物のタルトをお皿に盛ってあったものだから、孫の目がランランと輝く。

心ならずも「これは大人のおやつよ。子どもが食べたら、身体が痒くなるの」と言い聞かせて戸棚にしまった。相手は「痒くなってもいいから食べたーい」と言い出す。しかたなく「じゃあ少しだけよ、ママに内緒ね」と一切れを半分にして食べさせた。暫くして「お婆ちゃん、へんだよ。痒くならない」とおっしゃるものだから「よかったなあ。少しだから痒くならなかったんだ」と私。

さらに真面目な顔で孫が言う。「わたし、痒くなってみたい。もっと食べてみる」と。とうとう私は負けて笑いながら「ごめん。ウソよ。いくら食べても痒くはならないの。でも今食べたら夜、折角ママのつくったごちそうが食べられなくなるからね。ママ可哀想だものね」と、なだめるしまつ。やっと納得させて帰らせたのだ。

そんな孫が、先日東京の下宿先から帰ってきて言うことには、「胃袋が小さいから、すぐに満腹になる」などと言ってあまり食べない。胃袋の大きかった爺に似ていたはずだが、変われば変わるものだ。()

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