☆沢村貞子 引き際の美学
平成元年11月81歳で女優を引退。その時の記者会見のやりとり。
「私は華のある女優じゃなかったから、引き際が肝心。60年もやったから、もう十分。寂しくも悔いも全然ありません」
「普通のおばさんになるんですか?」
「私はもともと普通のおばさんです」
実は聴力の衰えがあり、最後の出演ドラマは、補聴器を髪の毛で隠しての収録だったという。脇役人生を語ったことばに、
「主役も、脇役もそれぞれ……生まれながらの美しい花を舞台で咲かす人もいるし、その後ろから上手に枝葉を添える人もいる」
花の動きに合わせて枝葉をあやつる芸をわきまえていたから、溝口健二、小津安二郎、成瀬巳喜男といった名匠たちに重宝がられた。
引き際が見事なら、死に際も潔かった。常々「惜しいなと嘆かれるうちに逝きたい」と口にし、七の世話を人にさせないことに最後までこだわった。用を足すたびに病床から起きあがり、それが出来なくなったとき、自ら点滴を引き抜いた。平成8年84歳で没。
書かれているのを、そのまま転写した。女優の傍ら、エッセイストとしても、知られている。(【私の浅草】は、エッセイスト・クラブ賞を受賞)
立派な最後だが、なかなか真似のできることではない。
真似できませんね。沢村貞子と言えば、「お茶の間」だったと思うんですが、あれを出版したとき、曽野綾子が罵倒しましたね。
返信削除私は子供を背負って台所にいたのですが、聞くともなく聞いていたラジオで、たまたま、その生の声を聴いてびっくりしました。
「女優風情が」あの時の曽野綾子の声がまだ記憶に残っています。ほんとに身震いしましたね。女優風情がどうしたと、言ったのかは忘れました。「女優風情」にびっくりしてあとの言葉は聞けなかったのかな?
そうですか、それは知りませんでした。曽野綾子さんが、そんなことばをつかったとは、ちょっと信じられませんね。「茶の間」も読んでいませんが。
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