2014年1月24日金曜日

特別養護老人ホーム


もう20年も昔のことだが、70歳近くなっておられたMさんは、まだ私立の学校で現役の教師をなさっていた。そのとき、こんなことをおっしゃった。「もうじき職を退くのだけれど、毎日が日曜日のような生活が続くと思うとぞっとするわ。10年もすると、身体が不自由になって、特別養護老人ホームみたいなところに入れられて、タンバリンやカスタネットなんか持たされて、歌いたくもないのに、咲いた~咲いた~~なんて歌わされるなんて、想像しただけで泣けてくるわ」と。

彼女はその後、大枚をたたいて立派なケアハウスに入居して、自由で快適な暮らしをしており、そこでは終身お世話をしてくれるらしく、少し認知症になっているらしいのだが、特別養護老人ホームに送られることもなく、ケアハウス暮らしをしておられるので、泣くこともなく、理想に近い生活をされているようである。

こうした環境は、お金持ちだった彼女なればこそできることであって、乏しい年金生活をしている者は、真似のできることではない。


とはいうものの、明日どうなるか分からない年頃になると、心穏やかではいられない。私も、近くにある特養老人ホームのそばを通るときは、近い将来ここにお世話になることもあるかも……、なんて思うのだ。


施設も、だんだんと改革されているし、働いている人たちの教育もなされているので、昔のイメージとは違うのだろうが、それでもある病院が経営されている特別老人ホームに勤めている方が、明るく楽しい施設という雰囲気ではない。なるべくなら入りたくない、とおっしゃるのだ。


これからは、こうした特養施設に入らねばならない年寄りが、増え続けるのだ。もう、自立が困難というような事が、目の前に来ているような私の同級生が寄ると、いつまで自立した生活が出来るか、1日でも長く自立していくためには、どうしなければならないか、といったようなことが、いつも話題になってくる。そして口をそろえて言うことは、娘や息子のところには行くことなく、一人の生活を何とか踏ん張り、介護保険などを利用しながら、やっていくつもりだと。

今、実際に国を動かしている方たちのほとんどは、老後の心配などしなくてもいい方たちばかりである。人ごととは言わないだろうが、所詮人ごとなのだ。だから、老人福祉の予算が少なくなっていくのだ。

何とかならないのか、そうした独居老人を、地域で支え合っていくということができないのか、と思うのだが……。こういうことは、国なり地域なりが、指導的立場にたたなければ、なかなか出来ないように思う。

2 件のコメント:

  1. 介護保険は3年毎に見直されるようですが、今年が見直しの年。先ず特別養護老人ホームは要介護3以上でないとは入れなくなるらしいです。要介護3はかなりの重症、なかなか認定が取れません。介護保険を利用しない有料ホームがあるのかどうかはよく知りません。

    それからケアハウスは入居に介護保険を使わない代わりに、介護はついていませんから自立できる人以外は入居できません。外からホームヘルパーを雇ったりディサービスを利用したりするのです。これには保険が使えますが入居費以外のお金がかかります。

    特養でどういうような介護がされているかはよく知りませんが、希望しないのに歌わされたり、折り紙さされたりはしないと思います。ただあまり明るい感じではないようです。

    ホームヘルパーも規則でがんじがらめで、必要な時に必要なサービスは受けられません。ケアプランと言うのがあって、何曜日に何時間と決まっています。これも時間とお金は
    介護認定度によって変わります。で、ヘルパーさんだけで、終末まで乗り切るのはちょっと大変でしょう。それも、次第に予算が減らされていますから、元気なうちにそこらへんは調べておく方がいいと思います。以上、私の経験から・・・失礼。

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    1. mimiさん。貴重な体験からのお話、ありがとうございます。

      コメントは読んで居ない、というお方もいらっしゃるかと思いますので、ちょっと書かせていただきますわね。人ごとではない方たちも、親ごさんが、介護を必要とされている方にも、読んでいただきたいので。

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