2012年7月11日水曜日

粗忽者 その1


私は粗忽者である。

粗忽者ということばを辞書で引くと、【そそっかしい】【慌て者】【おっちょこちょい】という言葉が並ぶ。

そそっかしいとか、慌て者というのは、自覚していて、よく失敗しているのだが、おっちょこちょい、ということばには、いささか抵抗がある。
そこで辞書を引くと、【落ち着きがない】【早とちり】【軽率なことをする】ということだ。

……よく考えてみると、これも当たらずとも遠からず、といえるようだ。


そういうことなので、私は粗忽者のレッテルをペッタリと貼られても、文句は言えない。

ただ、私には、見た目、落ち着いているような印象を与えている一面があるようだ。行動がとろくさいこともあるし、人見知りというか、あまりおしゃべりしないということもあるので、そういう印象を与えてしまったのかもしれない。
かなりの大年増になって、面の皮も厚くなってきたものだから、言いたいときにはけっこう言うのだが、それでも同級生10人集まれば、聞き役に回ることが多い。



もうすでに、このブログでも、いくつかの失敗をご披露しているのだが、まだまだ材料に事欠くことはない。


お顔の見えない電話での失敗もいくつかある。

あるとき、電話がかかってきた。「○△ですが……」そこまで聞いた私は、すぐに北海道の札幌にお住まいの恩師○△先生と思いこんでしまった。小学校12年生の時の担任の男の先生である。生徒を心から大切に思ってくださった先生であり、北海道に行く一つの目的は、先生にお会いすることでもあったし、教員になっても、○△先生のようにならねばと、私のお手本と思っていた先生だ。



先生からのお電話とあって、もう私は嬉しくてはしゃいでしまった。声は1オクターブ上がっている。
「まあ、○△センセ。わあーっ。お元気でしたかぁ。ご無沙汰ばっかりで、どうもすみません。お体の調子は、いかがですか?」
「はい。……あのう、ご主人いらっしゃいますか?」
「??はっ?」

そこでやっと、○△先生とは、夫の勤めている学校の教頭先生であることに気が付いたのだ。
ひぇーーっ。どうしよう、どうしよう。
慌てて「はい。ちょっとお待ちください」と夫を呼びに走った。


夫の上司に、私は何ということを……。そのとき、咄嗟に「あ、すみません。私の恩師の○△先生と間違えまして……。失礼いたしました」とでも言い訳をしたらよかったのに、慌ててそのようなことのできる余裕もないのだ。

顔を赤くして穴に入りたい気分のまま、今も忘れていない。


こんなこともあった。シニア演劇塾の公演間近いある日、塾長の先生から、携帯電話がかかってきた。「ぼく、大怪我しましてね」とおっしゃったものだから、『ええっ』と大声で叫び、私の頭の中は、混乱し始めた。「大丈夫なんですか。どうしたんですか云々……とお話をしているうちに、ちょっとオカシイと思って、よく聞くと、先生のお兄様が怪我をされて、今夜の練習に遅れるということだったのだ。
「ぼくの兄が大怪我をしましてね……」とおっしゃったらしいのだが、【…の兄が】というところで私は、携帯電話を右手から、左手に持ち替えている。だから、私の耳に入ったのは、「僕、……大怪我しましてね」となってしまったのだ。左ギッチョなので、いつものように左手で持ちかえたのがいけなかった。(笑)

この時も、先生ご本人の怪我と思ったものだから、ひどく立ちいって、色々とお聞きしてしまった。

まあ、こうした失敗は、数え切れない。

 ……続きはまた……

4 件のコメント:

  1. これまで生きてきますと、ここには恥ずかしくて書けないような失敗を重ねています。忘れようにも忘れられない失敗も二つや三つではありません。死んでやっと失敗に終止符が打てるんでしょうね。

    ごまめさんは。粗忽者でも軽率者でもありません。人格者ですよ。

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    1. それは誰も同じでしょうかね。人間なれば、あたりまえと言いたいところです。でも、自分で粗忽者と思うのは、やはり粗忽者なのです。身贔屓に考えても、やはりそうです。ま、これからも、せめて他人さまに迷惑のかからぬようなことで、失敗を重ねられることをねがっています。

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  2. 粗忽者に拍手、粗忽を語る会を開きたいです。

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    1. ふっふっふ。粗忽の会ねえ。Awatenさんは、慌てないの名のごとく、慌てない方とお見受けします。講師にやといましょうか。

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