私は粗忽者である。
粗忽者ということばを辞書で引くと、【そそっかしい】【慌て者】【おっちょこちょい】という言葉が並ぶ。
そそっかしいとか、慌て者というのは、自覚していて、よく失敗しているのだが、おっちょこちょい、ということばには、いささか抵抗がある。
そこで辞書を引くと、【落ち着きがない】【早とちり】【軽率なことをする】ということだ。
……よく考えてみると、これも当たらずとも遠からず、といえるようだ。
ただ、私には、見た目、落ち着いているような印象を与えている一面があるようだ。行動がとろくさいこともあるし、人見知りというか、あまりおしゃべりしないということもあるので、そういう印象を与えてしまったのかもしれない。
かなりの大年増になって、面の皮も厚くなってきたものだから、言いたいときにはけっこう言うのだが、それでも同級生10人集まれば、聞き役に回ることが多い。
もうすでに、このブログでも、いくつかの失敗をご披露しているのだが、まだまだ材料に事欠くことはない。
あるとき、電話がかかってきた。「○△ですが……」そこまで聞いた私は、すぐに北海道の札幌にお住まいの恩師○△先生と思いこんでしまった。小学校1・2年生の時の担任の男の先生である。生徒を心から大切に思ってくださった先生であり、北海道に行く一つの目的は、先生にお会いすることでもあったし、教員になっても、○△先生のようにならねばと、私のお手本と思っていた先生だ。
先生からのお電話とあって、もう私は嬉しくてはしゃいでしまった。声は1オクターブ上がっている。
「まあ、○△センセ。わあーっ。お元気でしたかぁ。ご無沙汰ばっかりで、どうもすみません。お体の調子は、いかがですか?」
「はい。……あのう、ご主人いらっしゃいますか?」
「??はっ?」
そこでやっと、○△先生とは、夫の勤めている学校の教頭先生であることに気が付いたのだ。
ひぇーーっ。どうしよう、どうしよう。
慌てて「はい。ちょっとお待ちください」と夫を呼びに走った。
顔を赤くして穴に入りたい気分のまま、今も忘れていない。
「ぼくの兄が大怪我をしましてね……」とおっしゃったらしいのだが、【…の兄が】というところで私は、携帯電話を右手から、左手に持ち替えている。だから、私の耳に入ったのは、「僕、……大怪我しましてね」となってしまったのだ。左ギッチョなので、いつものように左手で持ちかえたのがいけなかった。(笑)
この時も、先生ご本人の怪我と思ったものだから、ひどく立ちいって、色々とお聞きしてしまった。
まあ、こうした失敗は、数え切れない。
これまで生きてきますと、ここには恥ずかしくて書けないような失敗を重ねています。忘れようにも忘れられない失敗も二つや三つではありません。死んでやっと失敗に終止符が打てるんでしょうね。
返信削除ごまめさんは。粗忽者でも軽率者でもありません。人格者ですよ。
それは誰も同じでしょうかね。人間なれば、あたりまえと言いたいところです。でも、自分で粗忽者と思うのは、やはり粗忽者なのです。身贔屓に考えても、やはりそうです。ま、これからも、せめて他人さまに迷惑のかからぬようなことで、失敗を重ねられることをねがっています。
削除粗忽者に拍手、粗忽を語る会を開きたいです。
返信削除ふっふっふ。粗忽の会ねえ。Awatenさんは、慌てないの名のごとく、慌てない方とお見受けします。講師にやといましょうか。
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