2012年7月20日金曜日

祝婚歌


詩人 吉野弘氏の有名な詩があります。ご存じの方も多いと思いますが、若い方も、お年寄りも読んでみるととてもいい詩と思います。


『祝婚歌』 吉野弘

  二人が睦まじくいるためには
  愚かでいるほうがいい
  立派すぎないほうがいい
  立派すぎることは
  長持ちしないことだと
  気付いているほうがいい

  完璧をめざさないほうがいい
  完璧なんて不自然なことだと
  うそぶいているほうがいい

  二人のうちどちらかが
  ふざけているほうがいい
  ずっこけているほうがいい

  互いに非難することがあっても
  非難できる資格が自分にあったかどうか
  あとで疑わしくなるほうがいい

  正しいことを言うときは
  少しひかえめにするほうがいい
  正しいことを言うときは
  相手を傷つけやすいものだと
  気付いているほうがいい

  立派でありたいとか
  正しくありたいとかいう
  無理な緊張には
  色目を使わず
  ゆったりゆたかに
  光をあびているほうがいい

  健康で風にふかれながら
  生きていることのなつかしさに
  ふと胸が熱くなる
  そんな日があってもいい
  そして、なぜ胸が熱くなるのか
  黙っていても
  二人にはわかるのであってほしい

吉野氏は、この詩が、皆さんに親しまれてあちこちで発表されていることに対して、「民謡のように皆さんに親しまれている詩には、著作権等ありません。民謡は、作者不明ですからね」とおっしゃっています。言いお話ですね。


2 件のコメント:

  1. いい詩ですね。これ暗記していたら豊かな人生を送れるかもしれない。そう思います。自分が年を取ったから、人生に肩ひじを張る必要はないんだ、とよく分かります。

    でも、若い時は、とかく自分を主張したいもんですよね。私は正しい、あなたが悪いと言いたい。どちらが正しくても、どうという事はないのが、殆んどですけどね。

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    1. 暗記して毎日唱えましょうか(笑)

      無駄には生きてこなかった証拠ですよね。若い時には分らなかったことが分かるし、肩の力も抜けますしね。

      年を取るということは、悪いことばかりではないと思えるのもまたいいですね。

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