つれづれなるままに その３

 

梅雨のじめじめした感触は、だれもが嫌うのだが、庭の雑草は天を突く勢いで伸びているようだし、木々の緑は、つやつやと光輝いている。

もう何年か前から、目まいのするような陽射が照りつける真夏よりは、冬がましと思うようになってきたのだが、梅雨の季節も、同じように真夏よりもましと思うように変わってきた。どうも、老体には、真夏は堪(こた)える季節のようだ。

そんな真夏も、もう目の前だ。熱中症で亡くなる人もいるので、気をつけねばならない。

九州は、大雨で被害が出ているのに、まだ降るらしい。こちらも今日は朝から土砂降りだったので、自転車で市内まで通勤する息子を、車で送ったのだが、もう雨も止んだ様子。

息子も自分の車で行って行けないことはないのだが、駐車場を借りていないので、遠方まで歩くはめになるらしい。雨でも自転車で１時間もかけて行くのだ。

私はこの三月まで、高校生だった孫の送迎をしていたのだが、もうお役目がすんだので、大雨のときは、息子を送ることにしている。事故にでもあったら大変だ。運転が苦にならない私なので出来ることかもしれない。

ついでに冷蔵庫の中が、野菜ばかりになっているのを思い出したので、帰る途中、マーケットに寄った。

鮮魚売り場に立つと、そばの子どもが、加工していないエビをみながら「あっ、ざリガニ」といった。母親らしき方が、「違うけど、ザリガニに似てるなあ。この頃、ザリガニ、おるんかいな」と。

私も久しくザリガニにはお目にかかっていない。近くの子どもたちも、玉あみをかついでザリガニを追うことは無くなった。いや、子どもの姿は、通学と下校のときに目にするだけである。

以前、ザリガニを食べたことがあるか？と聞かれたことがあったが、食べたことはないが、何となく想像はつくと答えた記憶がある。

名前はカニとついているけれど、どちらかというと、形は海老に似ているから、海老の仲間のような気がする。
えびもかにも、親戚だろうがザリガニの味は、安物の冷凍海老の味に似ているような気がする。間違っても、イセエビには似ていないだろう。

始めてなまこを食べた人は、勇気ある人だったろうなあと思うが、それと同じくらい、海老を食べるのも、勇気を出して口にしただろう。

あの何本もの足は、どうみても気持ちのいいものじゃない。
毛虫でさえも、足がなければ、うどんの端切れと、そう変わらないはず。足がたくさんあるばっかりに、蚕もむかでも気持ち悪がられ、嫌われている。

雨上がりの庭の木々は、水滴をたっぷりと蓄えていて、傍に寄ろうものなら、頭から雫を浴びてしまいそうで近寄れないのだが、柿の樹をよく見ると、幹にコケがはえている。もう樹が古く、弱っている証拠だ。二本の柿の樹は、ひどい年は、一つの実もいただけないことになる。実がならないわけではないのだが、数が少なくて、みんな、食べごろまでに、カラスにつつかれてしまうのだ。

さて、今年も小さな柿の実が、たくさん枝にくっついていたのだが、もう、かなりの実が落ちている。樹は賢いので、身に余るものは、落としてしまうのだ。赤ちゃんのコブシくらいの実が、褐色になってたくさん転がっている。半数以上落としてしまったようだが、残っているものも、先では落としてしまう可能性はある。今はつやつやと青く張り切っているのだが……。
今年は何個くらいお口に入るのだろうか・・・。

あるお方が、「歳とともに自然に対する感受性が鋭くなってきました」と書いてあった。私は、それほどにも感じない鈍感な者なのだが、自然の偉大な力が、自分に命を与えてくれているような、そんな感じのこの頃である。