2012年9月24日月曜日

習い事


田舎の子には少ないと思うのですが、幼い小学生が、1週間が足りないほど、習い事をしているというのを聞いたことがあります。ピアノに習字に絵画にバレエに学習塾に……と。親ごさんも大変でしょうが、子どもも大変なことでしょう。

私の子どもの頃も、習い事をする子はいましたが、クラスに5人もいたでしょうか。算盤とか、習字くらいで、たまに踊りを習っている子がいたくらいでした。

小学校4年生のとき、隣の席のA子ちゃんが、踊りを習っているのを羨ましく思って、親に無理をいったところ、「芸者になるんでなし、踊りなんかダメだ。お前は親に似て、字が下手だから、習字に行け」と言われ、有無を言わさず、近所に出来た習字の塾に行かされました。

そもそも習字の嫌いな子が、塾に通ったからといって、皆が皆、上手になったり好きになったりするとは限りません。好きこそものの……ということは、今も昔も変わらないでしょう。

10人程の生徒がいましたが、私はいつも一番後ろの長机の端っこで、身を縮めていました。センセの書いてくれた朱色のお手本を見て書くのですが、いつも直されてばかり。おまるがいただけることはありませんでした。

無理もありません。いやいや書いているし、自信はますますなくなっていくばかり。

習字のセンセは、一見、温厚そうな方でしたが、ときたま、ひどくヒステリックな声をあげました。生徒にではなく、若い娘のような奥さんに、です。

禍転じて福となる、というか、家に帰って父母にセンセのことを何度かつげて、行きたくないと言うと、「止めたいなら止めなさい」とお許しが出たのです。子どもの前で夫婦喧嘩などされたら教育にならぬと思ったのでしょう。

そのとき、親が付けくわえたことばは、「大きくなっても、字の下手なこと、親を怨むでないぞ」ということでした。怨むでないと言われたって、恨みたいので怨んでいるのですが、それにしても私は職業柄、字は毎日書いていました。それでもとんと上手くはならずじまいだったのです。血筋とは恐ろしいものであります。

私はセンセの夫婦喧嘩のおかげで塾を止めることが出来たのですが、A子ちゃんは、間もなく父親がいなくなって、踊りの稽古を止めざるを得なかったのです。「大きくなったら、また習う」と、言ったA子ちゃんの悔しそうな顔は、今も忘れられません。

 

4 件のコメント:

  1. 習い事ねえ。私の時は誰も行っていなかったので、当然、思ってもいませんでした。

    娘の時はお習字に行かせましたが、全く役に立っていないようです。

    孫はピアノや水泳に行ってましたね。水泳は泳げるようになりましたが、ピアノは没です。中学受験前に半年ほど学習塾に行きましたが、これは結構役に立ったようです。

    そう言えば娘は教育大で、小学校過程なのですが、ピアノに苦労したようで「、なんで、ピアノを習わせて置いてくれなかったの」と言われました。就職試験に出るんですってね。まあ、何とか無事通りましたが・・・

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    1. 私は息子にピアノ教室に通わせましたが、2年ほどで本人が止めると言いだして止めさせました。その後、ギターを弾いたりして、音楽に興味をもちだして、「ピアノをつづけてたらなあ」と悔やみましたので、「止めたいと言ったので止めさせた」と言うと、「子どもがそう言っても、続けなさいと言うのが親の役目だよ」と言われました。そのとおりですね。(笑)

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  2. 私も、算盤と習字、友達が行っているから一緒に好きでもないのに行きました。
    続きませんでした。(笑)お稽古事は、もって生まれた素質があるんですね、、、
    そんな気がします。

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    1. 好きこそものの上手……ということですね。
      それとも、教え方が悪いのかしら。(笑)

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