私は大のネズミ嫌いである。とにかく気持ちが悪い。蛇かネズミか、といわれたら、蛇がずっとマシである。漢字のネズミという字をみてもイヤなので、いつも、カタカナを使っているほどだ。(笑)
どうしてそんなに毛嫌いするのかといえば、幼いころ、家にネズミが住み着いていて、よく、金網のネズミ捕りを仕掛けていたことが原因のように思う。
我が家だけではない。隣近所、同じようなネズミ捕りの中に、ネズミが入ったものを、家の前を流れていた下水に綱をつけて釣りさげてあるのを、毎朝のように目にしなければならなかった。時には、ネズミの断末魔のようななき声を耳にした。
それがたまらなくイヤだった。
嫁に来た家にネズミがいなかったのは幸いだった。大きな猫を飼っていたからだと思う。たまにネズミを咥えて家人に見せにくることがあったが、私は戸外に飛び出してしまうので、その後の処理はみたことがない。
古い家を建て替えてからは、もう、ネズミの入る隙間もなくなったのか、チョロリともみかけなくなった。
ある日、勤め先で一人で日直をしているとき、ひょいと床に目を落とすと、ネズミが1メートルほど先をチョロチョロと走った。
気が付くと私は、ギャーとか叫んで、机の上に上履きを履いたまま飛び乗っていた。運悪く、そこへ教頭先生が入ってこられた。教頭先生の驚いたようなお顔。慌てて降りようと思っても、ネズミがどこにいるやら分からないものだから、降りられない。机の上に仁王立ちしたまま、「ネズミが走ってます」とか何とか言って、そっと降りたのだが、とても恥ずかしかった。
家にはネズミは居なくなったのだが、あるとき、物置にネズミがいるらしいと夫が言う。
「もう、物置には入れない」と言うと、「薬を買っておけ。簡単に退治できるわ」といって外出した。私も、さっそくネズミ捕りの薬を買いに行った。
この話の結末は、前にもブログに書いたのだが(7月12日・粗忽者ーその2)夕方、私がトントンと野菜をきざんでいるときだった。
「浅田飴って、ヘンな味じゃなあ」
と言う夫の声に振り向いた。
なんと夫は、私の買ってきたネズミ捕りの薬を片手に口をモグモグさせているではないか。
その薬の箱、薬屋さんが、浅田飴の宣伝用の袋に入れてくれたのだ。慌て者の夫は、その袋だけを見て、中のネズミの絵のついた箱に入っているネズミ獲りの薬を確かめもせずに、口にほうりこんだのだ。
食いしん坊の夫は、てっきり浅田飴と思ったらしいが、それにしても大の大人とは思えない。箱のネズミの絵は、まるでミッキーマウスのような大きなマンガ顔だ。私はおかしさをかみ殺して洗面所へ夫の後を追った。
口の中の清掃をすませた夫が大声で怒鳴った。「ばかもん。ネズミ捕りを、こんな机の上において置くヤツがあるかっ。見てみろっ、浅田飴と書いてあるじゃないかっ」と。
私は、叱られながらも、床にうずくまって背中やおなかを、こんにゃくのようにびびらせて笑った。やっと、「箱にちゃんと、ネズミ捕りと書いてあるじゃないの。ネズミの絵までかいてあるのよ」と、反撃したが、そんな理屈は通らない。しこたま叱られてしまったが、どうにも笑いが止まらない。おなかの筋肉が痛くなるほど、笑ってしまった。今でも思い出すと笑ってしまう。
ネズミのことで、こんなに笑ったのは、初めての終わりである。
ネズミを可愛らしいと言う人もいる。私は、ミッキーマウスも、ネズミと思うといい気はしない。ディズニーランドも、一度はお付き合いで行ったことがあるが、楽しくてたまらない所ではなかった。何かにつけて、本物のネズミを思い出してしまう。多分、もう行くことはないと思う。(笑)
私も、子供の頃家の前に用水があったので、そうゆう場面を見てきました。
返信削除ネズミが居なくなると、悪い事があるように昔の人が言ってましたね。
だからネズミが天井裏で運動会していても、気にもせずに
暮らしていました。(笑)
それはしりませんでした。でも、火事になる前に、ネズミは、逃げて居なくなる、というのを聞いたことがあります。本当かどうかは? ですが。
削除火事になる前に鼠が居なくなるのは本当だと思います。4,50年も前の事ですが、鼠が子供を咥えて移動しているのを見ました。場所は台所です。で、鼠が出てきたとおぼしき所を探しました。と、そこは冷蔵庫の裏で、壁との隙間に電線があり、それが熱くなっているのです。慌てて、コンセントを抜いて事なきを得ました。
返信削除ご主人も大事にならなくてよかったですね。
ネズミは、人間より鋭い何かが働くのですね。
削除ネズミ獲りは、お米に赤い色の薬をまぶしてあるようです。人間が少々食べても、どうということはないもののようです。昔の猫いらずとはちがうようです。それにしても、困った人ですよね。(笑)