2012年9月27日木曜日

佐野洋子という作家


昨夜は、早めに寝ようと思って床についたのだが、眠り薬の本がおもしろかったので、つい夜更かししてしまった。

本は、以前に一度読んでいる本。再読である。眠り薬には再読がいい。一度読んでいるということで、あまり神経を高ぶらせることもなく読める。とはいうものの、昨夜のようなこともあるので、一概にはいえないのだが……。

本棚から手にした本は、佐野洋子(19382010)著 『神も仏もありませぬ』だった。8年も前に読んでいるので、内容はほとんど忘れていた。

彼女の本職は絵本作家。絵本だけではなく、エッセイも書いている。なかなかの書き手、つまり読ませる文章を書く。(昔、朝日新聞に、随筆を書いていた時期があった。それを読んで、おおっ、と思ったのだ。)

彼女の書くエッセー・随筆には、難しい理屈がない。それでいて、何となく人生の哀歓がにじみ出ていて、うなづける。

【読ませる文章】にも、いろいろあるが、彼女はユーモアたっぷりの表現で書くものだから、随所で「くすり」と笑ったり、「ぷーっ」と吹きだしたりしながら、ほとんどの本は、飽くことなく、一冊を一晩で読破してしまう。

この本の内容は、意に沿わぬ65歳というトシを、不機嫌に迎えた彼女の、驚きと鬱憤をぶちまけている。そして、「他人が物忘れすると、どうしてこんなに嬉しいのだろう」といったように、正直この上ない書きぶりであるから、とても親しみを感じてしまう。

彼女の書くものは、過激で大胆な発言も多いが、そのなかにも、人間味あふれるコトバが光っているし、文章を書くことに興味のある者にとっては、とても新鮮で魅力ある表現が、どっさりとつまっているので、大いに満腹感を味わうことができる作家と思う。

私は、この作家が好きで、彼女の書くエッセイはほとんど読んでいるのだが、彼女は、ガンを患って、2年ほど前に最後を迎えた。そのいさぎよさにも脱帽した。「死ぬ気マンマン」の彼女だったが、私も、そんなときがくるかしら。そんな気持ちにはなれそうにないのだが……。

2 件のコメント:

  1. 佐野洋子、名前は知っていましたが、書いたものは読んでいません。言葉が光っている、とごまめさんが推奨なさるからには一度は読んでみなければ、損するかも知れませんね。今度、本屋へ行ったら探してみます。

    私は「死ぬ気マンマン」ではありませんが、いつ死んでも文句は言わないつもりです。

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    1. 彼女の本は、かなり文庫本にもなっています。

      文章の好みがありますから、お気に召さぬかもしれませんがね。

      >いつ死んでも文句は言わないつもりです。

      文句言っていくところ、私知らないから言えないよう。(笑)


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