2013年7月21日日曜日

官僚・マスコミに騙されていませんか?


日本の財政について興味深い記事が載っていた。

日本政府は、7月14日の閣議で、経済テコ入れを優先するため財政赤字(公的債務)の総額を減らす努力を2020年まで行わず、21年から赤字削減に努力することを決めた。しかし日本政府は、累積財政赤字に関する長期予測を2023年の分までしか持っていない。2024年以降の日本の財政赤字がどうなるか、日本政府はまったく予測を立てていない。

日本政府の累積財政赤字はGDP比220%で、先進諸国の中で最悪だ。それなのに政府は、景気回復を優先するとの口実で、2020年までは財政赤字の削減努力をせず野放図に赤字増を続け、21年から努力を開始するものの24年以降の分については赤字予測すら立てていないで不明確なままだ。財政赤字の長期展望について、民間の研究者は予測を出しているが、日本政府自身は何も予測していない。景気が悪いときに財政緊縮策を一時的にやめるのは納得できるが、緊縮策を再開した後にどう緊縮していくかという長期展望を立てないのは危険だとWSJは警告している。

10年後までしか考えていない日本と対照的に、米国のCBO(議会の予算事務局)は75年先までの財政予測をしている。

今はまだ日本国民の貯蓄率が高いので、日本人の貯蓄が金融機関を通じて国債購入に回り、日本国債の9割以上が国内の買い手だ。しかし貯金が多いのは、雇用が安定して貯蓄が比較的容易だった終身雇用時代を生きた中高年(団塊の世代)だ。今の若年層は、雇用が不安定で貯金が少ない。日本の貯蓄総額は減少傾向にあり、国債を国内の買い手でなく、外国人投資家に売る比率が高まる。国内の金融機関は日本政府の監督下にあるので買った日本国債を売らないが、外国人は国債を安く買いたたこうとして債券相場を揺るがし、国債金利を引き上げかねない。GDP比350%という返済困難な財政赤字は、非現実的な数字でない。

 

日本政府が財政赤字の長期予測を出していないと指摘するWSJの記事を読んで私は「やはり日本政府(財務省、官僚機構)は、財政赤字を意図的に増やしてきたのだな」と感じた。私は以前から、質素倹約を重視する日本人の民族的気質と、ここ20年ほどの財政赤字の野放図な拡大は矛盾していると考えてきた。世界的に日本人と並んで質素倹約を好むドイツ人は、EUの緊縮政策を先導しており、民族的な気質と政府の言動が一致している。

日本政府が1980-90年代以降、財政赤字を意図的に増やすようになった背景には「対米従属」の国是があると私は推察している。70年代から米国が財政赤字拡大の体質になり、経済大国となった日本が強い財政を持っていると、日本が米国より健全になってしまい、日本が米国の下位に居続ける日本の対米従属の国是が維持しにくくなる。だから日本の官僚機構は、過疎地での(地元の雇用の一時的な増加以外に意味のない)無意味な公共事業の大盤振る舞いや、90年代の不動産金融バブル崩壊の悪影響を長引かせて「失われた20年」を演出したりして、日本の財政や金融の体質を意図的に弱くしてきた。そのような私の分析をふまえると、日本政府が10年以上先の財政赤字の予測を出さず、赤字が減りにくい状態を作っているのは納得できる。

明日の参議院選挙で、自民公明の連立与党が衆参両院の過半数を制すると予測されている。参院選挙は「アベノミクス」に対する国民の信任とみなされるだろう。アベノミクスの3本の矢の1本目が、財政赤字を増加させて大きな景気対策をやることだ。短期的に、日本人の何割かは懐が豊かになり、歓楽街の人々も喜んでいる。しかし長期的には、日本の財政破綻や金融危機のリスクが増している。そして、このリスクは官僚機構にとって意外なことでなく、日本が対米従属を維持するために米国にひけをとらない弱い財政体質を持つための隠れた政策の「成功」を意味している。


アベノミクスの2本目の矢である日銀の量的緩和策(円を大量発行して国債などを買い支える)も、米国債の崩壊を買い支えによって止めている米国連銀の量的緩和策(QE3)を支援するためのもので、対米従属の国是に沿っている。後略

以上が事実なら、やはり、日本は、官僚王国なのだ。官僚のままに動く安倍政権。そして、つぶされて行く日本。

どちらにしても、何が何でも、安倍に矢を放たなければいけないのが、今回の参院選挙だろう。マスコミは、官僚の一部か、非常に民主には厳しい。民主党のやってきたこと、「人にやさしい政治」を、思い出してみよう。新しい政権になって、私たちの生活は、まずしくなっているのだ。

これをお読みの皆さんは、棄権などはしないと信じています。今からでもどうか、選挙に行かないなどと言う方たちに、是非、投票場に足を運んでいただくよう、お願いしてみましょう。お願いします。

 

 


 

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