2013年10月18日金曜日

終の住み家


今日、あるお方のお葬式に行き、お見送りをしてきました。奥様のおっしゃるには、大きな病院というのは、治らない、死が近い病人でも、最後までは看取ってはくれないので、家で苦しむ連れ合いさんを看取って、とても辛い思いをされたとおっしゃっていました。傷みを伴う病気で苦しむのですから、むろん、点滴やら、モルヒネの薬を飲ませたりしなければなりませんが、病院のように、的確にできるとき限りません。

最近は、在宅介護とかいって、家で看取ることを奨励しているようですが、大変ですし、独り暮らしでは、それは不可能に近いでしょう。

有る年齢が来ますと、「元気なうちは、このままでいいけれど、自分の身のまわりのことが十分に出来なくなってきたら、老人ホームのような施設にでも入らねばならないなあ」と思うようになってきます。家族がおる人はまだいいのですが、娘や息子は遠方で家庭を持っている、という方や、連れ合いに死なれて独り暮らしという方たちにとっては、深刻な問題になってきます。

ただ、ホームであっても、ホームで最後を迎える方は、少ないのです。ホームでは、なかなか医療行為はしてもらえず、病気になると病院に送られます。ホームで知らぬ間に亡くなったというような場合は、ホームが終の住み家になりますが、そういう方は、案外少ないそうで、何か変わった症状が出ると、病院にすぐ搬送されます。第一、看護師さんは、医師がその場に居ないと、点滴も行えないそうです。
しかも、施設によってその期間は、まちまちかもしれませんが、1か月、2か月と入院していると、今度は施設から、出ていかねばならなくなるのです。入院している人に対しては、介護補助金が零になり、そのまま、部屋をあけておくと、収入がなくなるからです。

元気な時から「家族に迷惑をかけたくないから、ホームに入る」などと言っていても、どうしたって家族には迷惑をかけてしまいます。施設に入っても、入院しても、何らかの形で、助けてもらうようになりますから、元気なうちから、そのつもりでいたのがいいのです。

私のお友達や知人も、何人もが、ケアハウスや、老人ホームに入っています。いや、入っていた、と言ったほうがいいかもしれません。Aさんは、90歳すぎて、離れて住む子らに、無理やりのように、ケアハウスに入れられましたが、1か月で、自分のマンションに引き上げてしまいました。「あんなところに入れられたら、することがないので、はよう死んでしまう」とかおっしゃって出ました。Bさんご夫婦は、もう買い物もままならない、ということで、入ったケアハウスは、安いのはありがたいが、狭苦しいし、都会のマンションのように、入居者の交流がなく、「隣は何をする人ぞ」といったようなハウスなので、家がいい、と半年ほどで、家に帰りました。Cさんは、ケアハウスに入られていましたが、体調がすぐれずに、入院されましたが、娘さんが、帰ってきたらいい、ということで、退院と同時にお家に帰られて、娘さん夫婦や孫さんたちに囲まれて、生活することになりました。独り暮らしの自由気ままはちょっぴり少なくなくなったかもしれませんが、何と言っても身内に囲まれての理想的な老後です。

Aさん、Bさん夫婦が、これから先、自立が不可能になったりしたとき、どうなるか、Cさんのように、家族と暮らせるか、あるいは老人ホームか、それは分かりませんが、考えないわけにはいきません。

こんなことを書いてますと、1日でも長く自立していたいなあと、思います。健康寿命の終わりが命の終わりというような具合にいきたいものです。年寄ってからの人生は、健康であったなら、【黄金の人生】にもなりうると言う時期です。貧しくても自由があって、したいことが出来るということは、高齢者でなければ味わえない幸せでしょうね。

 

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