2013年8月3日土曜日

夏の風情


真夏、浴衣を着る人が少なくなった。私も、もう何年も浴衣など着たことがない。寝巻だって、ほとんどはパジャマ。浴衣の寝巻を来て寝ている人は、もうほとんどいないだろう。

ま、今でも、旅館に泊まったりすると、浴衣の寝巻を用意してくれるところがあるが、ホテルはもう全てがぶかぶかの洋服のような寝巻になっている。

 

とは言っても、若い人だって、殆どの人は、浴衣の1枚や2枚は持っていると思う。日本人であれば、夏、浴衣を着て見たいという気持ちはきっとあるにちがいない。デパートや衣料品店に浴衣がお目見えすると、女の娘たちは立ち止まる。そして安ものであっても、1枚は買いたくなるのだ。

 

今年も徳島市では、阿波踊りが12日から4日間始まるのだが、この盆踊り期間は、我慢をして浴衣を来て踊り見物に行く人はかなりいるだろう。でもふだんはもうほとんど見かけない。まして、今年のように、猛暑が押し寄せていると、もう女性でも、上半身、裸に近いような、襟ぐりの大きな、袖ぐりも大きくくれた服を着て町を闊歩している。いくら夜は涼しいといっても、帯を巻き付けた浴衣姿では、暑苦しくて仕方が無いだろう。

 

日本の夏と言えば、縁側の風鈴、すだれ、蚊取り線香、団扇、行水、そして浴衣、といったものが情緒の代表だったのだが、今は、そのどれもが姿を潜めてしまった。大袈裟にいえば、これらは日本の美であったし、涼であったのだが……。

浴衣は、それだけではなかった。古く洗いざらした浴衣は、子どもが生まれたら、おむつに早変わりするのだ。浴衣をほどいて、おしめに縫う。生まれるまでに、かなりのむつきを用意しておくのだ。

浴衣のほとんどは、藍染のものだったので、洗濯竿に、紺色の模様のおしめがずらりと並んだものだ。これも懐かしい風景だ。今時、おしめを干す風景など、どんな山の中の軒下にもみることはないだろう。使い捨てのものや、紙おむつが、これほど早く全家庭に入ってくるとは、思ってもみなかったことの一つである。

余談になるが、思っても見なかったことの一つは、水を買うことと、お茶を買うことだ。水やお茶が売れるなんて、想像したこともなかった。夏の風情も、何もかもが、どんどんと変わってきた。

2 件のコメント:

  1. そうですね。随分変わりました。私が子育てをした時は、出勤前に井戸端でおむつを洗い干して行きました。

    この間、孫嫁が来てくれました。見ていると、ちょいと子供のおむつを替えます。その手早い事。紙おむつです。思わず「アラ紙おむつなのー」と言ってしまいました。「布おむつも1応作ったんですけど、やっぱりねー」と嫁。ちなみに嫁は保健師です。時代には逆らえないんでしょうね。

    私は婚家を娘に譲った時、和服類は全部捨てました。もったいないとは、思いましたが、今は正解だったかなと思います。

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    1. そうですか。何かがなければ、着物の処分はなかなかできませんものね。

      ま、私は、たくさんはありませんから、どうということはありませんが、着物を洋服に直すのにも、洋服を買うほどかかりますからねえ。それも出来ません。

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