2012年3月13日火曜日

ニキビ

ニキビの出ている孫娘の顔を見ながら、(似なくてもいいところが似ているなあ)と思った。母親も父親も、ニキビの出るような肌ではない。私に似たに違いない。

若いころ、ニキビにはかなり悩まされた。ニキビが腫れてとても痛かった。このごろの子のように、ニキビとり化粧水など買ってはもらえなかった。

女学校二年生の春、顔にニキビをくっつけて隣の家にお使いにいったところ、おっちゃんが、「あれっ、おでこが赤いなあ。痛そうだな。ゴマメちゃんもイロケが出てきたか」と笑った。

当時の私は、まだ、『色気』などということばの意味を知らなかったので、(ああ、こんなモノを『イロケ』というのか・・・)と、新しい単語を覚えたようないい気分だった。

帰ってきてから、手紙を書いた。相手は、一年生のとき担任していただいたT先生である。赤紙(召集令状)で入隊されていたので、慰問文を書くようにと、新しい担任の先生に言われていたのだ。

私はこんな手紙を書いた。
「先生、お元気でお国のために働いていらっしゃることと思います。私も元気に学校へ通っていますが、このごろイロケが出てきて困っています。云々・・・」

しばらくして、先生から返事のハガキをいただいた。
「お手紙ありがとう。・・・女学生は、女学生らしく、勉学に励まないといけない。いらぬことを考えていては、勉強のさまたげになります」といったような内容だった。
当時、何となく叱られているようなそのお返事に、違和感を覚えた気がする。

あとになって、「ひぇーーーっ。恥ずかしい! 何ということを書いたのか・・・」と、アタマをかかえてしまった。何とも幼稚な女学生だった。今思い出しても、汗が出てくる。

2 件のコメント:

  1. 再び笑っちゃいました。
    「イロケが出てきて困っています」というお手紙を貰った先生、困ったでしょうね。

    私もニキビには困りました。古女さんよりマセていたのか、ニキビの出るのが遅かったのか分かりませんが、「これは思われニキビ?」「いやいや、そんな筈はない。振られニキビに違いない」などと小さなハートを痛めていた記憶があります。
    イロケどころか無色透明になってしまった今となっては、遠い懐かしい思い出です。

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    1. お六さま…私って、何事にも『おくて』だったように思います。春の目覚めだけでなく、文学にめざめたのも、老人になってからだものね。(笑)

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