2012年3月23日金曜日

車の運転

高齢者の運転事故は、かなりあるようだ。そのためか、数年前から、免許の更新時に、義務付けられていた高齢者講習に認知テストも加わった。
私も受けたが、集まっている方たちの中には、運転はもう止められたのがいいのでは……と思う方もいらっしゃる。

「そろそろ運転を止めたほうがいい」という判断は、ご自分で潔く止められる方もあるが、自分では分かりにくいのか、家族に説得されて止める方が多いようだ。事故を起こしたとか、ちょっと判断力がにぶってきた、というとき、やはり家族としては、無理にでも止めさせることになるだろう。

私は生まれつきの不器用で、字も絵もスポーツもダメなのだが、唯一器用?なものが運転と思っているので、まだしばらく車は手放さないつもりでいる。

運転免許をいただいたのは48歳。若くはなかった。大学生の息子が春休み、自動車学校へ通い始めたとき、「お母さんのような、おばはんも、ようけ受けに来ている」と聞かされたとたんに、私も免許を取ろうと決心した。

それまでは、夫が「おまえのような運動神経の鈍い者は、すぐ事故を起こすから、絶対に車の運転はするな。用のあるときは乗せてやるから」と言われていたので、不便と思いつつ、諦めていたのだ。

しかし、たとえ夫であっても、自分の用事に夫を連れ出すことには気がひけるし、買い物一つにしても、「まだか、まだか」とせかされるし、「ちょっと待っとれ」と待たされるし、頼んで助手席に乗せてもらうというのは、有難いようでこの上なく不便なものである。その上、仕事と遊びに忙しい夫は、休みだって滅多に家にいないお方だ。

思いついたが吉日と、すぐに手続きに行き、予約金か入学金かを支払った。
夜になって夫に報告、という手順である。

思った通り、怒声がとんできた。
「バカヤロウ。死んでもええんかっ。絶対に無理や。今からでも取り消しにいかんか」と腰をあげる。ここで負けたらおしまいと、私もふんばる。
「私が死んでも貴方ならすぐええ嫁さんが来てくれるやろ? (ふっふっふ。本心の反対を言うたった。私よりええ女が来てくれるはずないがな。)免許取るだけでもええんよ。乗ってみて無理なら止めるから。お願い、取るだけ取らせて」
とうとう夫も「死んでもええなら、勝手にせえ!」と折れた。にんまりの私。

当時の自動車学校は、とても不便だった。まず授業を受ける日は、朝は4時起きして、予約を取りに行かねばならない。そのためには、自転車ではとても無理で、バイクの免許取りからはじまった。それはすぐに取得できた。

スクーターを買って、それに乗って、予約を取りに行く。すでに行列だ。並んで待つ。時間がきて予約を取り付ける。電話予約では、とても自分の都合のよい時間帯はとれない。勤めが終わってからの時間帯なので、時間は決められている。

予約が取れたら、すぐ家に帰り朝食の用意をし、再びスクーターで駅に向かい、汽車に乗り市内の勤務先へと向かう。

勤めを終えると汽車で帰り、駅から直接スクーターで自動車学校に行く。
終わるとすぐ家に帰り、夕食の用意をする、と言う生活である。
だから、毎日行けるわけではない。自分の都合と時間割と照らし合わせながら時間数を埋めて行くので、かなり大変である。

それでも何とか頑張らにゃあ。自分からやると言いだしたんやから、途中から投げ出したりしては格好にならない。
私の知人二人は、途中から投げてしまった。そんなことは私にはできない。
それ見たことかと、夫は大喜びで私をバカにするだろう。

考えたのが、誰彼に『私、車の免許取るからね」と、言いふらすことだった。
こうして宣伝してしまうと、もう止められないだろう。
以前、ある知人は、誰ひとりにも言わず、こっそりと免許を取って、周りを驚かせた。
彼女曰く。「もし、途中で投げ出すことになったら恥ずかしいから誰にも言わなかった」と。

私は、その反対をいくことにしたのだ。反応は色々だったが、多くの方は、励ましてくださった。(続きは明日に)


4 件のコメント:

  1. よかったですねえ。免許とっておいて。ごまめさんの意思の強さがよく分かります。

    ごまめさんの判断は正しかったんですよ。乗せてもらうというのは、旦那であろうが、子供であろうが、ほんとに気兼ね。タクシーの方がましか、とも思うのですが、家の車を目の前にしてタクシーに電話するわけにもいきませんしね。

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    1. 仰る通りです。苦労して取得しましたが、大きな見返りを頂いて感謝しています。

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  2. 古女さんの大変な思いの上前をはねて、いつもお世話になっております。感謝しております。

     私は若いときに、家族から勧められて免許を取りました。殆ど乗る機会がないまま、何度か更新しましたが、寝たきりの祖母をおいて書き換えに行けず、そのまま返上してしまいました。でも、運動神経の鈍い、小心者なのでその方が良かったかなあ、とちょっぴり負け惜しみをこめて、思っています。
     小心なのに厚かましいので、古女さんを初め友人の方々、夫、息子にケンタイでお世話になっています。皆さん、本当にありがとう!

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    1. お六さんは、私とちがって、免許持たなくても、そんなに不自由ない運命なんですから羨ましいわ。
      あ、運動神経と運転は、あまり関係ないですね。私はまったくスポーツはあきまへん。

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