2012年3月21日水曜日

冤罪

昨日、徳島ホールに、『ジョージとタカオ』という、映画を見に行った。冤罪で、昨年524日、無罪判決を勝ち取った『布川事件』の映画である。

この事件は、1967830日朝、茨城県の利根町布川で起こった殺人事件で、犯人と確定され、29年間獄中生活を送ったショージこと桜井昌司さんと、タカオこと杉山卓男さんが、仮出所を許されてからの14年間をどのように過ごし、どのように無罪を勝ちとってきたかを、記録した映画である。

撮影したのは、専門の映画のカメラマンではなく、偶然2人を知ったディレクターさんが、自分のカメラで記録したものなので、手持ちカメラが揺れて、ちょっと見にくい場面もあるのだが、ドキュメンタリー映画として、とてもいい映画だった。

冤罪という恐ろしい出来事を私たちは、ただ気の毒‥…と、単に同情の目で眺めるには、あまりにも問題は大きすぎる。20歳そこそこのやっと大人になった者ふたり、今は60歳代のオッチャンなのだ。
目新しい冤罪としては昨年の、官僚・村木厚子さんの事件もあった。

免罪のほとんどは、取り調べの際に、「やりました」という自白をさせられたことにある。頭から、「犯人はこいつだ」ということで調べを受けるのか、故意にウソまで言って落とし込むのか、いずれにしても、よほどの精神力がなければ落とされるのだろう。
ショージとタカオの場合も、20歳そこそこのチンピラだったふたりは、「このままだと死刑だ。自白すれば助かる」とか、「相手は、お前とやったと白状した」とウソを言っている。当時は、あまり仲の良くなかったふたりは、それを聞いてあいつがやったのか……」と、一時信じたという。しかも、脅され脅迫され、精神状態は、「ああ、もう何でもいい。裁判で正しい裁判が何とかしてくれるはずだ」というような状態に追い込まれてしまい、ウソの自白をさせられている。アリバイがあっても、だれもが見ていないことも、信じてもらえない一因だったらしい。しかも、証拠の指紋もなく、証拠不十分であったのに、不都合な証拠は表には出されなかった。

二人は、「長い獄中生活から解放され、「日々、飯食って風呂入って……なんて幸せなんだろう」とおっしゅる。そして、「あなたの家族が、違法な捜査、取り調べを受け、犯人にされて、人生を奪われたらどうしますか?」と訴える。

しかし、問題は大きい。全ての国民を裁ける機関が、正しい裁判ができないようでは、どうなるのか。しかも、でっちあげでその人物を陥れるようなことが出来るなんて、こんな恐ろしいことはない。

今、注目の渦中にある、元代表小沢氏の裁判にしても、氏のおっしゃるように、検察の暴挙であるならば、大きな問題である。市民は、安心しておれぬ。また、反対に、事実を隠して無罪を叫ぶのであれば、これも国民をばかにした行為であろう。いずれにしても、判決は正々堂々とやってほしいものである。

そして桜井さん、杉山さんのお二人には、これからの幸せな人生を長く長くおくっていただきたいものである。

2 件のコメント:

  1. 冤罪ってほんとに恐ろしいですね。検察に1度目をつけられたら、どうしようもないという事かしら・・・

    正義の味方だとばかり思っていた検察が、見えないところで無実の人に罪をかぶせていたなんて、これが愛する日本で起こっていたなんて、恐ろしい。

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    1. ほんとに怖いことですよね。文化国家なんて言えません。
      反対に、灰色は罰せずということで、無罪になつた人が、再度殺人をしたりした例もありますから、難しいですね。

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