2012年3月14日水曜日

ツケ

ある知人が嘆いている。昨年孫が大学出たけれど、思うように就職できないので、心配しているのだ。よく聞く話である。大学に入学した頃は、まさか、それなりの大学出た者が、定職につけなくて、アルバイトのようなことをするなどと、親も子も思っていなかったに違いない。時代が変わってしまったのだ。

「国民も改革の痛みに耐えて、共に新しい日本を作ろう!」
このことばは、あの小泉・竹中路線の構造改革のときに、イヤと言うほど聞かされたことばである。

小泉・竹中組が、大きく旗を振り、マスコミを抱え込んでの大改革をしたその皺寄せは、単細胞の私にもよく見えている。雇用環境の悪化と、生活水準の低下である。特にこれからの世を背負う若者世代が、身分保障もない派遣と言う不安定な雇用の中で、夢も希望もなく、結婚も出来ず、悲鳴を上げているように思われてならない。 傷みはあまりにも大きすぎた。     

以前なら会社人のほとんどが、連れ合いに不満を言われながらも、会社第一に仕事に打ち込んで奉仕し、会社はその見返りとして、よほどのことがない限り、身分を保証し、生活を守ってくれたものだ。一生を託せる場所であったように思う。

同じように働いても、働き甲斐のない使い捨てでは、会社への思いはどうなるのだろう。多分、忠誠心どころか、職場に対して、憎しみすら湧いているかもしれない。

自由経済と云う名のもとに、人としての当たり前の気持ちを踏みにじる社会。こんな状態が、いつまでも続くとすれば、実に恐ろしいことだ。

こうした世の中を見ていると、政治家の責任というものを強く感じる。しかし、そうした政治家を選んだのは、国民である。でも、「景気がよくなる」と言われれば、「雇用環境が良くなる、生活が楽になる」と踏んだ若者たちがたくさんいて当然だろう。まさか、自分たちの首が絞められる、などと考えもしなかっただろう。

アメリカのすることのマネをし続けてきた日本だから、アメリカの実状を学ぶべきだったのだが、そこまで考えさせてくれるマスコミ報道など、まつたく無かった。マスコミなんて、いいかげんなものである。

ま、政府もこんなにも早々と、その大きなツケが大衆に回ってくるなど、思っても見なかったのかもしれない。そんなツケを丸ごと押し付けられて政権交代した民主党もお気の毒なことだと思う。
しかし、舵取りを始めた以上は、火の粉も被って進むしかない。頑張ってください。

ふと思った。それでも日本という国は、餓死者も出ず、暴動も起こらない国で、世界の人達が感心している。その理由の一つとして、やはり、個人資産がかなりあるという日本の実状かもしれない。これも、髪ふりみだして働いてきた熟年、老年のおかげじゃなかろうかと思うのだが、間違っているかな?


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